内容説明
「自ら処決して形骸を断ずる」文芸評論家・江藤淳氏が命を絶った。妻との別れ、病苦、老い―境遇をともにする人たちからの痛切な叫びの数々。130余通の投書を収録。
目次
苦悩の日々にこそ
共感と悲哀と
凡人は生きる
老いて病いを得て
感想・レビュー
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佐和子
1
日本の知識人を代表する江藤淳の自死から既に14年。 「心身の不自由は進み、病苦は堪え難し。 去る六月十日、脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は形骸に過ぎず。 自ら処刑して形骸を断ずる所以なり。 乞う、諸君よ、これを諒とせられよ」 5行ばかりの遺書。もっとおやりになりたい仕事があったでしょうに、 自らこれでよし、と終止符を打たれたのですね。「諒とせられよ」は諒として受け入れてくださいね、という先生からの控めな優しいメッセージだと思う。凡人の自殺とは一線を画すのではないか。 2013/01/22