内容説明
江戸時代は「家族の時代」の始まりだった。夫婦を軸に、庶民の家が、「町」や「村」にはぐくまれつつ成立し、親は「家」永続への思いをこめて、子の教育に熱い視線をそそいだ。土間中心の家づくりから、奥座敷をもつ「民家」が誕生し、火や明りも、竈や囲炉裏から火鉢や行灯へと分離する。夜の読書、雛祭や端午の節句、物見遊山の旅…家族の時代は、「消費の時代」の始まりでもあったのである。豊富なフィールド・ワークを基礎に描く、等身大の江戸時代誌。
目次
序章 子供から大人へのフォークロア
1 近世町人家族の肖像
2 家をたてる
3 家族が旅さきで死んだばあい
4 火消・吉田清助
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
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庶民目線から見る江戸時代という本だが、”家庭”に着目したところが珍しい。養蚕産業で経済発展した上州地方をフィールドワークしているが、当時の豪商は子供達を江戸に留学させていた。江戸娘のファッションに憧れて、実家のパパに「どうか買ってちょうだい」とおねだりする手紙を書く娘や、「早く帰ってお母さんに会いたいな」と手紙に寂しさを滲ませる息子、何だか微笑ましい。そして、江戸後期の度重なる倹約令は、庶民の旺盛な消費活動の裏返しだったとか。もはや武家は庶民を統制出来なくなっていたのだった。2010/05/01