出版社内容情報
幼い日に実の母と離れ、弦楽器職人の里父のもとで育った中学2年生の時本拓実。10年の委託期間を終え、実母の家へ戻る時間が迫っている。音楽が導く、里親との別れの半年を描いた愛の物語。note主催「創作大賞2023」受賞後第一作!
【目次】
内容説明
幼い日に実の母と離れ、弦楽器職人の里父のもとで育った中学2年生の時本拓実。10年の委託期間を終え、実母の家へ戻る時間が迫っている。いずれ別れが来ると分かっていた彼は、バイオリンを弾くことだけを好み淡々と日々を過ごしてきたが…。望まないことに慣れてしまった14歳の拓実、引き取ろうと努力する実の母、別れを知っていても愛をそそぎつづけた里親、それぞれの想いは交差する。
著者等紹介
せやま南天[セヤマナンテン]
1986年京都府生まれ。作家。2023年「クリームイエローの海と春キャベツのある家」で創作大賞2023(note主催)朝日新聞出版賞を受賞し、24年同作でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆきち
56
たくさんの人に読んでもらいたいと思った一冊。読んで本当に良かった。養育里親の元へ里子として4歳の時に来た拓実。14歳になった今、あと半年で実母の元に戻らなければならない。わたしは、養育里親の制度を詳しく知らなかったので、実の親が養育できる環境になったら里親の元を去らなければならないということを知らなかった。そしてもう二度と養育里親と会うことができないということにもびっくりした。拓実が、環境が変わることを受け止めるまで、そしてバイオリンを弾き続けたいと思うようになるまでの過程が中学生らしくてとても良かった。2026/08/09
konoha
52
里親里子という重いテーマを扱いながらも、温かい家族、音楽小説だった。弦楽器工房を営む岸根家に里子として育てられた中学生の拓実は実母の元に戻ることになり、里親との生活は残り少なくなっていく。バイオリンに打ち込み、別れと向き合おうとする拓実の成長がまぶしい。繊細な感情、美しい風景を丁寧に描き、読み応えがあった。終盤は登場人物への作者の愛情が伝わってくるようで、心を動かされた。里子の現実は不勉強でわからないが、この小説を読む限りとてもシビア。ママ呼びが終始気になってしまったのは残念。2026/05/26
えも
29
養育里親は初めて知りました。子どもを育てられない親が生活を立て直すまで、期限付きで里親になる制度▼10年の歳月を経て4月から実の母親の元に戻る中2男子の葛藤。幼少期から愛情を諦め周りから距離を取って生きてきたが、最後に、好きなバイオリンを演奏を聴いてもらうことで、里親、母親、友人ら周囲に思いを伝えようとする▼周囲の人達の愛情が彼に届いていないことにヤキモキしていましたが、後半、怒濤の展開で涙腺が弛みました。2026/03/09
nyanco
29
14歳の拓実、父の営むバイオリン工房でバイオリンを弾く日々、自分の居場所が不確かである寂しさが伝わる序盤。 拓実は里親制度で養父母と暮らしている、4歳で別れた実母の元に戻るタイムリミットが直前となっている。実の親の元に戻るのがマストであり、戻った後は養父母に会うことが出来ない。里親制度、良く知らなったので考えさせられる部分がとてもたくさんありました。幼馴染に同じく里親制度で引き取られた果鈴、彼女も里子だが実母が行方不明のため、養父母と養子縁組になる予定。果鈴の存在が拓実の現状を浮き彫りにする。 →続 2025/12/10
chiaki
28
養育里親の里子として4歳で岸根家に預けられた拓実。弦楽器職人である養父の温かい愛情の下育つが、彼に選択権はなく十年という期限つきの家族関係を、里親と施設と実親を行き来しながら築いてゆく。やがて来る別れを思い、余計な感情移入をせず周りと距離をとりながら、人生の何もかもを諦めてしまったかのような拓実。彼の複雑な心の揺れが丁寧に描かれている。子どもが親を選べない現実が突き刺さって辛い。パルティータは出発の意。ここを境に、新しい扉が開く未来を信じて、拓実や彼を取り巻くすべての人がどうか幸せでありますように…。2026/06/06




