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出版社内容情報
日本経済の救世主か? 稀代の詐欺師か?今日も中小企業は、喰いものにされる朝日新聞デジタルの人気連載に大幅加筆、書籍化!老後の人生設計が暗転。まやかしの事業承継。減り続ける資産。――知らないと危なすぎるM&A(合併と買収)、そのトラブルの全貌〇会社を救うはずだったのに。あなたの会社は大丈夫?100万円で売り買いされる会社/9千万円余りが数カ月で流出/「会社を手放す気持ちがわかんねぇのか」/「カネ払え」携帯に無数の着信/M&A倒産で「地獄に突き落とされた」/「善意」が前提の契約手続き/歯切れの悪い業界団体代表/22億円をどぶに捨てた官民ファンド/地域金融機関の責任/机に並べた帯封つきの札束/北新地のキャバクラ利用260万円超/会社とは誰のものか/働く人のために(目次より)〇実際に起きたトラブルから、問題の所在と原因を探る私がこの問題に取り組むきっかけは、ルシアンホールディングスという買い手によるトラブルを知ったことだ。設立から短期間のうちに30社ほどの中小企業を買いあさり、資金が行き詰まった2023年末に代表者は失踪した。十数社が事業の停止や倒産といった憂き目に遭っている。 だが、買い手と売り手をつなぐことで「成功報酬」を受け取るM&A仲介業者は、M&Aによってどんな結果がもたらされようとも、報酬を得たままの「一人勝ち」となる。デタラメなM&Aで中小企業を追い込む買い手に問題があるのは言うまでもないが、悪質な手法を繰り返す買い手を紹介して着実に稼げるビジネスのありように、私は関心を抱いた。(「はじめに」より)〇岐路に立つM&A仲介ビジネスは、どこへ向かうのか 中小企業のM&Aでトラブルが続発する実態を掘り起こしていくと、その先には二つの帰結があり得ると考えた。国や業界が本腰を入れて対策に乗り出し、悪質な買い手によるM&Aを排除するのか。それとも、M&A仲介では悪質な買い手が紹介され得るとの前提を置き、中小企業の経営者が無防備に近づいてはいけないと警鐘を鳴らすのか。 現状はどちらか一方に傾くのではなく、二つの方角へと少しずつ歩を進めている。 国はトラブルを防ごうと、実質的な業界ルールであるM&A中小ガイドラインを改訂した。ガイドラインに反する業者は処分し、その恐れがある業者にもトラブル防止策を講じさせた。業界団体も悪質な買い手を共有するデータベースを築き、仲介や助言に携わる者の資格制度の創設に向けた議論を加速させている。そうした取り組みがM&Aのトラブルを抑制する一定の効果を持つのは間違いない。ただ、ガイドラインに従わずとも仲介ビジネスは展開できるし、玉石混交の業者が各地で営業を仕掛ける現実は変わっていない。M&Aを成約させるかどうかで手数料を稼げるかが決まる構造のなかで、ブームに乗じてチャンスをうかがう魑魅魍魎は早晩、国や業界の対策をすり抜ける新手法を編み出すことだろう。 一方、M&Aのトラブルが増殖する実態は2024年5月以降、TBSや東洋経済オンラインなどでも力を入れて報じられてきた。第三者承継やM&A仲介を無邪気に称賛するムードは萎み、ニュースに触れて
【目次】
内容説明
日本経済の救世主か?稀代の詐欺師か?今日も中小企業は、喰いものにされる。朝日新聞デジタルの人気連載に大幅加筆、書籍化!外れない経営者保証、抜き取られた現預金、借金だけ残して音信不通に―知らないと危なすぎるM&A、そのトラブルの全貌。雇用を守るつもりが一転…あなたの会社は大丈夫?事業承継の闇をぜんぶ暴く!
目次
第一章 まやかしの事業承継
第二章 政府と仲介業界の怠慢
第三章 経営者保証の落とし穴
第四章 保証トラブルは防げるのか
第五章 喰いものにされる中小企業
第六章 お金目当てのM&A
第七章 成約主義の構造
第八章 地域金融機関の責任
終章 働くひとのために
著者等紹介
藤田知也[フジタトモヤ]
朝日新聞記者。早稲田大学第一文学部卒、同大学院アジア太平洋研究科修了後、2000年に朝日新聞社入社。盛岡支局をへて02~12年に「週刊朝日」記者。経済部に移り、18~19年に特別報道部、その後は経済部に所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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