出版社内容情報
【目次】
内容説明
戦後の混乱期に、男だけを執拗に殺め続けた子連れの女殺人鬼・北川フサ。彼女のルポを請け負ったライターの海老原は取材を進めるうち、その残忍な行動に抗い難い魅力を感じ始める。フサに巣喰う強烈な感情は、やがて彼の苦悩をも炙り出して…。
著者等紹介
宇佐美まこと[ウサミマコト]
1957年生まれ。愛媛県出身。2006年「るんびにの子供」で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。20年『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
279
宇佐美 まことは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。戦後の混乱期をキル・ビルの如く逞しく生き、連続殺人の罪で死刑になったハンサムウーマン北川 フサの物語、大変読み応えがありました。 https://publications.asahi.com/product/25762.html2026/01/20
パトラッシュ
269
先日読んだ奥田英朗の昭和史三部作が戦中戦後を力強く生き抜いた若者の群像劇なら、本書は飢えと暴力と恐怖の渦中で辛うじて生きた弱者のドラマか。戦後の混乱期に5人殺しで死刑になった女について調べるフリーライターの活動が、存命する関係者の閉ざされた記憶をこじ開けると同時に取材者自身の抱える苦しみと有機的につながっていくプロセスが見事だ。戦争で一切を失った女子供が理不尽な暴力にさらされ、無数の死を目撃して怒りだけを支えにした時代だからこそ、たとえ殺人という形であれ信じられるもののため命を賭ける姿は美しく鮮烈だった。2026/03/31
イアン
230
★★★★★★★★★★タイトルが美しく響く宇佐美まことの長編。妻を事故で亡くし息子と暮らすライターの海老原は、懇意にしていた編集長からある人物についてのルポを依頼される。戦後に5人の男を殺害し死刑となった女殺人鬼・フサ。事件を掘り下げる中で、フサがある少年と行動を共にしていたことを知り――。なぜフサは稀代の殺人鬼と成り果てたのか。取材を続ける海老原の視点は、やがて一人の戦争孤児の記憶に置き換わっていく。戦後という時代に蹂躙された人々の尊厳。それらを護るために戦う絆の強さは「血の繋がり」を遥かに凌駕していた。2026/01/26
いつでも母さん
188
白には200種類以上あると言う。初めて知った色【月白】カバーの装画は読後、私の中で憎しみの熾火となった・・このしんどさは宇佐美まことだ(当方比)戦後の混乱期、連続殺人事件の犯人・北川フサを、今あらためて追いかけるライター海老原の苦悩もまた憎しみが根底にあった。やばいよ、私も北川フサに魅入られて、心拍数が上がるのを止められない。苦しさを凌駕する快感に、人の持つ闇があるのを突き付けられて狼狽える私がいる。心が解放されるのはいつ?一生持って生きて行けと心の奥で自分が言う。そんな圧巻の本作、ファンは堪らないはず。2026/01/30
モルク
164
終戦直後の東京。焼け野原となり、闇市そこに群がる人々…その中で5人の男を殺害した北川フサ。殺人鬼フサを扱ったルポを請け負ったライターの海老原が彼女の過去を追う。彼女が連れて行動していたという東京大空襲で家族を失った浮浪児のこと、そしてその少年が存命しているらしいことを知りついに彼にたどり着く。浮浪児たちが暮らした青みがかった冷たい白「月白」この色のない世界で自らを罰してきた彼。重く苦しい記憶を抱えその中でしか生きることができなかった…とても重いが余韻が残る。あまり多くを語らない方が良さそうだ。2026/04/27




