出版社内容情報
【目次】
内容説明
戦後の混乱期に、男だけを執拗に殺め続けた子連れの女殺人鬼・北川フサ。彼女のルポを請け負ったライターの海老原は取材を進めるうち、その残忍な行動に抗い難い魅力を感じ始める。フサに巣喰う強烈な感情は、やがて彼の苦悩をも炙り出して…。
著者等紹介
宇佐美まこと[ウサミマコト]
1957年生まれ。愛媛県出身。2006年「るんびにの子供」で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。20年『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さぜん
38
「つきしろ」とは月の光を思わせる薄い青みを含んだ白色。それは戦後の過酷で悲惨な状況を生き抜いた男の記憶に残る色だった。妻を亡くし息子と暮らすルポライター、海老原は戦後の連続殺人鬼、北川フサの事件を取材調査をする中である少年の存在を知る。当時の戦災孤児達が置かれた境遇の酷さに胸が詰まる。一瞬にして家族を失いながらも必死に生きていく子供達の末路が悲しすぎる。フサの殺人動機は、不条理な世の中への憎しみなのか。戦争は日常を破壊し、人間の尊厳をも奪う。最近の宇佐美作品は戦争への怒りを強く感じる。2025/12/30
kei302
37
終戦時に起きた連続殺人犯 北川フサの事件を掘り下げるフリーライターの話。5人の男を次々と殺害したのはなぜか。事件のカギを握るのは引退した会社社長の大垣。終戦後、過酷な生活を強いられた人たちの苦しみ、「みんな川に還るんだ」大垣の言葉が哀しすぎます。事件の背景と並行して、交通事故で妻を亡くし小学生の息子を育てるライター海老原の背負っているものや苦しみが丁寧に描かれていて読み応えがあった。NetGalleyJP 2026/01/09
akiᵕ̈
20
戦後の混乱期の最中、5人の男を殺害したとして逮捕された北川フサの事件を改めて追う事になったフリーライターの海老原。調べていく中で1人の少年の存在を知る。生きていれば90歳を超えているであろうその人物の回顧と交錯しながら、戦争で生き残った人たちの想像を絶する悲劇がその現状と共にあぶり出される。最近、戦争当時の話の作品を何作か目にしたが、これはその中でも一際心を抉られ終始苦しみを伴った。自由を奪われ、憎しみを心の支えに必死に生き抜く人たちの心の叫びが容赦ない。月白というタイトルをしみじみ噛みしめる余韻。2026/01/08
よし
1
この物語では、事件の真相に迫るというのではなく、それぞれの人物たちの心情に近づこうとしているように思えました。当時、フサの側についてまわっていたとされる靖男の視点で、戦後の人々の苦しい状況や、生きるために仕方がなかったとは言えない男たちの残忍さと、いつも隣り合わせで生きなければならなかった人々の憎しみが伝わって来ます。また、海老原自身が抱えていた問題が徐々に明かされていくことで、彼がこの事件にのめり込む理由も分かってきます。いろいろと闇の部分が多いですが、明るい結末で良かったです。2026/01/15
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