出版社内容情報
【目次】
内容説明
戦後の混乱期に、男だけを執拗に殺め続けた子連れの女殺人鬼・北川フサ。彼女のルポを請け負ったライターの海老原は取材を進めるうち、その残忍な行動に抗い難い魅力を感じ始める。フサに巣喰う強烈な感情は、やがて彼の苦悩をも炙り出して…。
著者等紹介
宇佐美まこと[ウサミマコト]
1957年生まれ。愛媛県出身。2006年「るんびにの子供」で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。20年『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
178
宇佐美 まことは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。戦後の混乱期をキル・ビルの如く逞しく生き、連続殺人の罪で死刑になったハンサムウーマン北川 フサの物語、大変読み応えがありました。 https://publications.asahi.com/product/25762.html2026/01/20
いつでも母さん
154
白には200種類以上あると言う。初めて知った色【月白】カバーの装画は読後、私の中で憎しみの熾火となった・・このしんどさは宇佐美まことだ(当方比)戦後の混乱期、連続殺人事件の犯人・北川フサを、今あらためて追いかけるライター海老原の苦悩もまた憎しみが根底にあった。やばいよ、私も北川フサに魅入られて、心拍数が上がるのを止められない。苦しさを凌駕する快感に、人の持つ闇があるのを突き付けられて狼狽える私がいる。心が解放されるのはいつ?一生持って生きて行けと心の奥で自分が言う。そんな圧巻の本作、ファンは堪らないはず。2026/01/30
イアン
141
★★★★★★★★★★タイトルが美しく響く宇佐美まことの長編。妻を事故で亡くし息子と暮らすライターの海老原は、懇意にしていた編集長からある人物についてのルポを依頼される。戦後に5人の男を殺害し死刑となった女殺人鬼・フサ。事件を掘り下げる中で、フサがある少年と行動を共にしていたことを知り――。なぜフサは稀代の殺人鬼と成り果てたのか。取材を続ける海老原の視点は、やがて一人の戦争孤児の記憶に置き換わっていく。戦後という時代に蹂躙された人々の尊厳。それらを護るために戦う絆の強さは「血の繋がり」を遥かに凌駕していた。2026/01/26
ゆみねこ
76
妻を亡くし息子と二人暮らしになったルポライターの海老原誠は、戦後の混乱期に5人の男を殺害した「北川フサ」のルポを請け負うことに。執拗に殺め続けるフサの残忍な犯行はどこから来るものなのか?やがてフサと行動をともにしていた戦災孤児にたどり着き、彼へのインタビューを試みるが一筋縄ではいかない。フサに巣食う強烈な感情・孤児靖男の戦後に海老原が抱える憎しみが重なり合う。今、私たちが生きているこの国には消すことの出来ない暗い闇が残っている。宇佐美まことにどっぷりと浸る読書に。2026/01/31
itica
71
戦後まもなく起きた連続殺人事件の犯人が女だったことで当時も話題になっていたが、かつての稀代な事件を掘り下げるルポを依頼されたフリーライターの海老原は、取材を続けるうちに次第にのめり込んで行く。殺人犯を知る老人と海老原との出会いがこの物語の軸になるのだが、東京大空襲そして敗戦後の混乱は生き残った者にとっても地獄だったことが淡々と描かれていて読むのが辛い。でも戦争体験を語れる人が少なくなった今だからこそ、目を背けてはいけないとも思うのだ。海老原を救った老人の言葉が深い。 2026/02/09




