出版社内容情報
ひとが旅立つ寂しさ、いま生きているいのち、言葉にできずにただ思っていたこと……日々の生活から浮かんできたことばたち。 朝日新聞の連載「どこからか言葉が」をまとめた、谷川俊太郎がさいごに遺した「感謝」を含む47篇の詩。
内容説明
今日は昨日のつづきだけでいいと思う。何かをする気はない。朝日新聞の連載をまとめた、さいごに遺した「感謝」を含む47篇。
目次
おめでたいマンネリズム
自分さん
宇宙のマトリョーシカ
ある墓碑銘
そうなんだよ
何事もなく
どうして信頼する女友達に
つなぐ ほどく
黙る
秋のアジサイ
わざわざ書く
知らずに会ってる
み
二月
夜よ来い
また朝
心の貪欲
違う
いい天気
午後〔ほか〕
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
詩人。1931年東京生まれ。18歳のとき「文學界」に「ネロ他五篇」を発表。1952年第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行しデビュー。以来多数の詩を創作し、海外でも高い評価を得る。また、散文、絵本、作詞、翻訳、脚本など幅広いジャンルで活動し、82年『日々の地図』で読売文学賞、93年『世間知ラズ』で萩原朔太郎賞、2010年『トロムソコラージュ』で鮎川信夫賞、16年『詩に就いて』で三好達治賞、ほか受賞多数。2024年、92歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
58
敬愛する谷川俊太郎さんの遺作と言っても過言ではないように思う。谷川俊太郎さんの生きてきた時間の中で熟成されたものが、表現されている。朝、目が覚め、今日が始まる。昨日のつづきの時間軸の上にある。それを、奢らずに繰り返すことの大切さ。その中で、生まれる言葉の重さ・深さ・広がりは、何物にも代えがたい。やっぱり、谷川俊太郎さんの言葉が好きだ。2025/09/01
新田新一
55
谷川さんの死後に発表された詩集です。『朝日新聞』に発表されたそうで、多くの人が読むことを意識して読みやすい詩になっています。最後に置かれた詩に谷川さんが辿り着いた境地が表現されています。「今日は昨日のつづきだけ/で良いと思う」うんざりするほど散文的な事ですが、その散文的な日常の中にある詩情を慈しみ愛し続けた詩人でした。平凡な日常の中にある美しさに気づけば、人生は無意味なものではなくなります。だから「感謝の念だけは残る」という結びの言葉が出てくるのだと思います。2025/08/05
なつ
43
『今日も目が覚めた。今日も生きている。』癌で亡くなった友人知人恩師も毎日そんな風に思ったのだろうか。認知症になり、夫・妻、子供・孫、自分、何も分からなくなってしまった伯父伯母は最期の時もそんな風には思わなかったのだろうか。生きるって、生まれるって、死ぬって、逝くって何だろう。答えの出ない事をまた延々と考え始めてしまう。谷川さんは命は自然から生まれたと仰った。だったらやっぱり自然に戻る、還る、という事なのかな。空の上には命が生まれる宇宙があって、大地の下には魂が帰る場所がある。谷川さん、それで合ってますか?2025/10/07
ryohjin
14
谷川俊太郎さんが90歳を過ぎて亡くなられた後に出版された詩集。新聞に連載された作品がまとめられています。「感謝」が最後の一編。「目が覚める」「まだ生きてるんだ」…。もはや何かをしようとするのではない。あきらめや苦しみもない。そこにあるのは命そのもの。その命が「宇宙」と溶け合って、一体となっている。そんなあり様が自分には感じられました。そして残されるのは「感謝の念」。この詩を読んで「悟り」とはこういう境地なのかなと感じ入りました。2025/10/28
コンチャン
14
BSの「あの本、読みました?」で谷川さんの特集をされていたのを見て、手に取りました。詩の世界を理解するのはなかなかに難しいことですが、こうして作品は残り、また読み返すことができるということが、嬉しく思います。2025/09/28




