出版社内容情報
宝暦八年、獄門を申し渡された講釈師・馬場文耕。長屋暮らしの文耕は、かつてなぜ刀を捨て、そして獄門に処されることになったのか? 謎に包まれた実在の人物、文耕の生涯を端正な文章と魅力的な登場人物で描き出す。沢木耕太郎、初にして堂々たる時代小説!
【目次】
内容説明
宝暦八年、日本の芸能史においてただ一人死刑に処せられた人物、その名は馬場文耕。かつて士分を捨て、貧乏長屋に住まい軍記物を講釈し―その生涯の殆どが謎に包まれた男を、豪胆な想像力と端正な文章で、誰をも魅了する主人公として鮮やかに描き出す。著者初の堂々たる長編時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どぶねずみ
20
講釈師、馬場文耕について。講釈を聴くというのは江戸時代の娯楽の一つ、今で言うと映画や寄せを見に行くような感覚なのか? 町民にとっては講釈師がやってくるのをとても楽しみにしていたようだ。話のネタは色々だが、特に風刺した話がウケたようで、それは今も変わらないと感じた。人気の講釈師の話も将軍をネタにした話はウケが良く、それを将軍様ご自身が聴くときにはどうなることやハラハラした。講釈も風刺があまりに強いと命取りになる。これが沢木さん初の時代小説とは思えないほど楽しませてもらった。2024/08/31
Qfwfq
5
叛骨どころか、迎合や伝達するだけのジャーナリストが跋扈する今、沢木氏が江戸を舞台にして描きたかったのはコレ!!江戸中期に活動した講釈師にして読み物の書き手、いわば作者のようなフリーランスのライターたちの祖とも言える男の行状記だ。人物についての記録は僅かながら、著者は残された17作品を中心に読み込んだ上で想像の翼を広げる。筆禍で獄門となったというこの人物、さぞやハチャメチャな人生を送ったと思いきや、かなり真っ当な男。その真っ当を貫き通した故死罪となるのだけれど、含みを持たせた粋なラストシーンに溜飲が下がる。2025/07/12
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