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出版社内容情報
大丈夫、心はやがて、のどかな海にたどり着くから
黒と青の織りなす世にも美しい2色刷コミック
『この世界の片隅に』著者約12年ぶり長編ストーリー!
未知のウイルスがまん延する中、スーパーマーケットで働く麻木あいはある悩みを心に秘めていた。一方、遥か昔のインドで、観自在菩薩がお釈迦様の弟子・舎利子と対話している。あいは、苦しみの中で、観自在菩薩の説く般若心経と出会い、そして――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
78
【行く者よ 行く者よ あちらの世界へ行く者よ あちらの世界へ 完全に行く者よ さとりよ 幸あれ】主人公はコロナ禍、夫に急死され勤め先へ復帰するが、“無いことを想い続けて”…苦界に沈潜していた。比叡山に登ったときに、夫が土産物屋で買ってくれた(般若心経がプリントされた)装飾手拭いを苦しみの中で手にして、観自在菩薩が説く般若心経に出会う――。<わたしは気づいたのだ この呪文にきみが出逢い 口にする時 異次元への扉が開く そしてあの方が合図を送る 勇気をもってくぐれ>と―― 羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶2025/07/14
ムッネニーク
70
31冊目『空色心経』(こうの史代 著、2025年4月、朝日新聞出版) コロナ禍の日本と釈迦が教えを説いた古代インド、2つの異なる時代と場所で起こる出来事が「般若心経」によって繋がる仏教漫画。『この世界の片隅に』以来12年ぶりとなる長編であり、青と黒の二色で描かれた美しい作品である。 観自在菩薩と舎利子の対話は宗教的というよりは哲学的で一読しただけでは理解し切れない。 仏教とコロナ禍という題材は少々堅苦しいが、読後は憑き物が落ちたような爽やかさを感じられるだろう。 〈心はやがて のどかな海に たどり着く〉2025/04/17
天の川
61
私は殆ど理解はできてない…。観音様がお釈迦様の弟子に般若心経を解釈して説法する青で描かれた世界、並行してコロナ禍にスーパーで働くあいが考え続ける黒で描かれた世界。あいの世界にも般若心経の解釈は青字で入り込む。重苦しかったあの頃を思い出す。コロナやワクチンの考え方で人の間に溝が深まったあの頃。あいと夫も然りだった。般若心経で心の安寧を取り戻したあいのように、今一度、観音様の説法を考えたい。こうのさん、12年ぶりの長編は実にこうのさんらしい。2025/04/19
こばまり
49
亡き祖母がよく写していたお経。かねてより興味があったのでうれしく手に取る。ゆっくり噛み締めるように読みたかったが、作家の久々の新作ゆえつい前のめりに。二回目の方が中身が頭に入ったようだ。これから何度も手に取るだろう。2025/07/25
ぐうぐう
35
般若心経をコミカライズした、こうの史代の最新作。パンデミックによる閉塞感漂う現代に生きる麻木あいと、遥か昔のインドの観自在菩薩が、無理なく自然とリンクしていく。やがて触れ合っているだけだった両者が、対話し、溶け合う。「在る」はずと思っていたものが「ない」ことに気付くことで、「在る」ことを知る。「「私」というワクを捨てたなら なにも悟らないし なにも得ないはず そもそも得る必要などないのだから さあ 捨てるがいい」理解を、二色の線が混じり合う世界として描くこうの史代の、伸びやかで優しい新作。2025/04/12