出版社内容情報
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内容説明
28歳の限界会社員・青瀬は、無能なパワハラ上司・前川に苦しめられながら毎日深夜まで働き詰めの生活を送っていた。そんなある日、「失踪宣言」と共に突然前川は姿を消す。突如訪れた平穏も束の間、前川から続けざまに届いたメールには「私は殺されました」と書かれ、容疑者として総務経理本部全員の名前が並んでいた。青瀬は妙に頭の冴える派遣社員・仁菜と共に真相解明に取り組むのだが…。あなたはこの真相を受け入れられますか?
著者等紹介
遠坂八重[トオサカヤエ]
神奈川県生まれ。2022年、『ドールハウスの惨劇』で第二十五回「ボイルドエッグズ新人賞」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
298
とぼけた文体をまとって飄々と進行するので、過酷な職場環境もそこまで悲壮感なく読ませる。ラストのオチも多少笑いに転嫁しようかな?くらい軽く爆弾落としてくるので、それほど嫌な気持ちにならず読めはするが、自分がこの状況になったら堪らんなという生々しさはほどよく残されている。大手らしい企業で、経理総務系の部署だけがここまで極端に長時間労働になるか?という疑問を序盤から持ちながら進むと、いちおうその有り得なさがちゃんと伏線になっていたようで、なるほどねとは思ったものの、嫌ミスとして秀逸だなとまでは感じなかった。2025/04/29
yukaring
83
かなり重い、トラウマ級のお仕事ミステリ。読めば読むほど辛くなりラストに至っては…。主人公の青瀬はパワハラ上司に振り回され、毎日深夜まで働く限界会社員。家に帰ればゴミを出す気力もない。しかしある日パワハラ上司・前川が失踪、そして数日後には「私は殺されました」というメールが社内へ発信される。しかも容疑者は部下の青瀬達5名だと名指しをして…。会社で疑いの目を向けられる青瀬たちは疑惑を晴らすためにイヤイヤながら前川の行方を探し始める。ブラック職場の現状と人間が壊れていく過程がリアルでもはやホラー小説のようだった。2025/03/16
美紀ちゃん
78
今どきこんなハードな職場あるのか?でも読んでいるうちに薄々気づいた。青瀬は催促されすぎてる。忙しいからではなく要領が悪いからかも。まず家の中がダメ。ゴミ屋敷。めんどくさがりすぎる。個性だから職場のチームでフォローしていけばいいと思うけどみんなで1人を排除しようとしていたなんて職場としては最悪。佐伯さんが優しすぎてあやしいと思ったが本当に優しい人だった。仁菜ちゃんの存在がとても心強かった。タマネギの花言葉は調べたら本当に「不死」だった。殺意を抱いた人たちとはもう一緒に仕事できない。つらい読書だった。2025/03/16
もぐもぐ
68
読んでいて終始ゾッとした。出だしからありえない程のパワハラとオーバーワーク。部下全員から死んで欲しいと願われる部長の前川が、本当に突然失踪。降りかかった容疑を晴らすため部下の青瀬とちょっと謎めいた派遣社員の三井が前川の行方を追うが、、、終盤の怒涛の展開に一気読みだったけど、これは人間不信になりそう。結末も救いなのか地獄なのか微妙。人が仕事で壊れていく姿を見るのは辛いです。スルッと読めちゃうから余計しんどかった。 #NetGalleyJP2025/04/06
シャコタンブルー
57
前川部長からのパワハラ地獄に怯える青瀬はすでに心身とも限界を超えている。周囲の社員も羊のように怯えて従順だが、派遣の仁菜だけは狼のように唯我独尊でユニークなキャラが際立っている。前川の突然の失踪・・ここから先の読めない展開で面白さ倍増。社員間の疑心暗鬼、社員と派遣の軋轢、会社の闇、建前と本音それぞれが抱える苦難を炙り出しながら一気に物語が加速していく。隣の芝生は青い。幸せは他人が推し量るものではない。普通に寝て起きて人間らしく生活することが一番大切なんだと仁菜に教えられた。ラストシーンも象徴的で良かった。2025/04/30