出版社内容情報
2019年12月、アフガニスタンで起きた人道NGO「ペシャワール会」の中村哲医師の殺害事件。朝日新聞記者や現地助手は、その実行犯を特定。犯行グループの素性や人脈を徹底的に調べ上げ浮かび上がった背後には、国際テロ組織や諜報機関の存在があった。3年半にわたる追跡取材の記録。
内容説明
ドクター・ナカムラを殺す気はなかった。主犯格の男が漏らした本音、背後でうごめく諜報機関、共犯者の逃亡…追跡取材で浮かび上がった犯人の素顔、事件の真相に迫る。
目次
プロローグ
第1章 狙われた通勤路
第2章 山奥に潜伏する男
第3章 当局が隠した失態
第4章 隣国に逃げた共犯者
第5章 見過ごされた予兆
第6章 政権崩壊の余波
第7章 尻込みするタリバン
第8章 真相解明へのバトン
エピローグ
著者等紹介
乗京真知[ノリキョウマサトモ]
1981年、福井県生まれ。朝日新聞福井総局長兼国際報道部員。少年期をブラジルで過ごし、神戸大学法学部で国際関係論を学んだ後、朝日新聞社に入社。仙台や名古屋で主に事件や災害を担当し、米コロンビア大学東アジア研究所(専門研究員)、イスラマバード支局長、アジア総局員、国際報道部次長などを経て、2023年5月から現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
88
2012年アフガニスタンで殺害された中村医師を 巡るノンフィクションである。 治安が不安定な当時の状況が今に蘇る。 中村医師を撃ったとされる アミールの共犯者とは 誰なのか?そして その共犯者とパキスタン治安機関とは 本当に繋がりがあったのか? それにしても利害が複雑なアフガニスタンの 内部抗争は凄まじい。アメリカ撤退の後、ガニ大統領からタリバンに移行した政権は何をするのか。 ひどく不気味なノンフィクションだった。2025/04/18
ばんだねいっぺい
22
犯罪で生計をたてる組織が存在する盾として互恵関係というレトリックによる癒着があるということ。そしてそれをまんまと地元の暴力装置として謀略に利用されてしまったということ。2024/10/06
チェアー
8
そうか、中村さん事件の犯人たちの素性はある程度は割れているのか。人脈をたどって犯人に近づいていく力量は確か。アフガニスタンとパキスタンの関係や、それぞれの政府が利用している武装勢力があることも知ることができたのは収穫だった。中村さんという人は。ガンジーに似た人だったのだな。残念だ。 2024/04/05
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇵🇸🇾🇪🇱🇧🇨🇺
5
2024年刊。著者は朝日新聞記者という点に不安を覚えつつ読む。最初にこの事件の構図という人物・組織相関図とアフガニスタンの地図・年表、中村さんの略歴が載っている。この年表はソ連のアフガン侵攻から始めているが、この前にアフガンには社会主義政権が成立。それなりにうまくいっていたが、アメリカが軍事訓練と武器供与したムジャヒディーンなテロリストに襲撃されて窮地に陥った。政権はソ連に派兵を要請し、ソ連はしたくなかったけど社会主義国の名手としての権威を失いたくなかったので嫌々派兵。→2025/04/22
ボンタンパンチ
4
アフガニスタンやパキスタンで医療活動や用水路の建設に携わった中村哲医師が殺害された事件を、朝日新聞記者が取材したもの。中村医師についてはよく知らなかったが、何年も現地の人々のために尽くした人物が、現地の政争絡みで殺害され、その真相も黙って葬られようとしているのには悲しみを覚える。彼を慕う声が多いのは慰めになろうか。後半は事件そのものから逸れるが、タリバン統治下の困難が描かれており、これはこれで興味深い。2024/05/12
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