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出版社内容情報
2022年7月、都内の病院で死去した女優・島田陽子さんの遺体の引き取り手はなく、居住区だった東京都渋谷区が引き取り火葬した。21年度、自治体が遺体を葬ったケースは約8600件に上る。高齢化と孤立化で「無縁遺骨」になる可能性は誰にでもある。その実態と墓じまいの現状を追う。
内容説明
無縁の死者10万6千人の衝撃!1億円残したまま「ひとり死」も…親族がいてもいなくても、終活と向き合わざるを得ない日本の現実。
目次
第1章 葬る人が見つからない社会
第2章 最期の不条理
第3章 異状死の不平等
第4章 増える無縁遺骨
第5章 ひとりでも無縁にならない
第6章 政権の政治課題となった身寄りなし問題
第7章 増える無縁墓
第8章 将軍家・大名家の墓じまい
第9章 変わりゆく死生観
著者等紹介
森下香枝[モリシタカエ]
1970年生まれ。「週刊文春」記者を経て、2004年、朝日新聞入社。東京社会部員、AERA dot.創刊編集長、週刊朝日編集長を歴任。現在、朝日新聞東京本社ネットワーク報道本部記者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
105
読んでいるうちに憂鬱になった。人間死んでもいろんな手続きの煩雑さ、残された人たちはその対応にあちこち動かなければならない。そしてなんといっても金銭的な問題。仮に死んでそのまま火葬してもらってもかなりの金額になる。それが残された人に重くのしかかる。それが家族も親戚もいない場合・・・20年くらい前と比較すると65歳以上の一人所帯が倍近くになっているという。これから増えるのは当然だろう。大学病院への献体の申し込みも増えているという。孤独死に無縁仏、他人事ではなくなってきた・・・図書館本2024/08/14
モルク
102
核家族が進み世代も高齢化。子供で賑わっていた団地も限界住宅に、親戚近所付き合いも疎遠となり…一人暮らしの老人が増え人知れず孤独死そして遺骨の引き取り手もいない。無縁の遺骨はどうなるのか。また事件性はなくとも死後に発見された異状死では検死解剖で金額に地域差がある。また身よりなし高齢者支援の問題など多くを知ることができた。そんな中皇室ジャーナリスト渡邉みどりさんの話はショックだった。長い期間かけて終活をしたにも関わらず身寄りがないだけで様々な壁に阻まれる、こんなにも大変なのか、不条理も多く暗くなる。2024/08/23
ナミのママ
77
現実から目を背けてはいけないとはいえ、年末に暗澹たる思いになる作品だった。女優島田陽子さんが病院で1人で亡くなった。遺体の引き取り手がなく自治体により荼毘された。病と闘いながら撮影に挑んだが亡くなる直前は経済的に困窮していたという。無法地帯化する無縁墓、遺骨を引き取った遺族が亡くなり遺骨がニ柱。現状と、自治体の苦悩や国への働きかけなど現時点での動きが書かれている。核家族化は高齢者にも子育て世代にも自由で幸せをもたらしているのだろうか?年の瀬に考えさせられる。2023/12/28
fwhd8325
75
長寿、高齢化は喜ばしいことかもしれないが、一方で想定していなかった数々の問題が生じています。昔のような家族のかたちは消滅し、果たして、この先どうなるのだろうと不安に駆られることもあります。この著書にありますが、遺骨をパウダー化して合祀するのであれば、最初からそれでもいいのではないだろうか。遺骨として残さなければいけない理由が私にはわかりません。2024/03/31
ネギっ子gen
69
【この世にし 楽しくあらば 来む世には 虫に鳥にも 我はなりなむ(大伴旅人)】死は誰にも平等に訪れる。遺体となり火葬され骨と灰になるが、それを誰が拾い弔ってくれるのか? 専門家は警告する。「独身者や子どもがいない夫婦だけでなく、家族がいても親戚づきあいがなければ、最後に死んだ人は、無縁になる」と。女優・島田陽子が病死後に遺体の引き取り手がなく、自治体によって荼毘に付されたというニュースをきっかけに取材を開始し、その実態と墓仕舞いの現状を追った書。「あとがき」の、<無縁でも何とかなるさ>の感慨に同意する。⇒2024/03/24