出版社内容情報
45歳の長男は認知症になった父の介護に懸命に取り組むが、なぜか空回りをしてしまう。排泄、隣人との付き合いなど暮らしのピンチをコミカルに描く。在宅医療を知る医師でもある著者の認知症をめぐる、泣けて笑える長編。
内容説明
45歳の好太郎は老人ホームから認知症の父を自宅に引き取ることにしたが…。高齢者医療を知る医師でもある著者が、懸命に取り組むがゆえに空回りする家族の悲喜劇を描く「認知症介護」小説。
著者等紹介
久坂部羊[クサカベヨウ]
1955年大阪府生まれ。医師、作家。大阪大学医学部卒。二十代で同人誌「VIKING」に参加。外務省の医務官として九年間海外で勤務した後、高齢者を対象とした在宅訪問診療に従事していた。2003年、『廃用身』で作家デビュー。2014年、『悪医』で第三回日本医療小説大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
209
認知症の父親の介護・・これはもう他人事じゃないし、自分が介護される側になるかもしれない。介護で大切なのは【感謝と敬意】それは頭ではわかっているが、自分の暮らしもあるのだ。それはー自分の都合ーそうですね、私も既に囚われていた。今回、久坂部さんは介護の一端を覗かせてくれた。認知症に加えて新たな病が発覚し、看取り問題やマンション介護の問題点も浮き彫りになる。45歳長男と、その妻や弟夫婦は理解があって仲も良くて理想的。現実はもっと厳しいと思う。自分の親、夫の親・・さてさて。2019/09/02
utinopoti27
187
認知症の父親を施設から引き取り、自宅で介護することを決意した長男の話。食事、排せつの世話から始まり、近隣居住者との諍いや、身勝手な父親の行動等々、あれもこれも神経が磨り減ることばかり・・。現役医師でもある作者の筆は、自宅介護の難しさを赤裸々に綴ってゆく。そして、本人のために良かれと思ってしたことが、実は家族の都合にすぎず、結局は本人を苦しめるだけというくだりに膝を打つ。ただ否定せず、我慢強くが極意なのだとか。わかっちゃいるけど、現実はどうなのだろう。やはり自分は対価を払ってプロの世話になりたい(笑)2020/05/09
ウッディ
162
「認知症患者の介護の極意は、患者への尊敬と感謝である」ことを講演会で聞いてきた好太郎は、施設に入れていた父を自宅で引き取る。休職し妻の協力を得て、精一杯の恩返しを心掛けるが、意思疎通できない父の介護は思い通りに行かない。高齢化が進む社会で、他人事ではないテーマでした。主人公は、直情型で少し単純すぎるため、コミカルな要素を含んいましたが、尊敬する父の壊れていく姿を見ること、一生懸命世話を焼いても自分の名前を呼んでもらえない辛さは切実でした。。延命治療が本人の為か、家族の自己満足かという問題も切実でした。 2020/01/07
修一朗
144
私にとって認知症は目下最大の関心事で,久坂部さんの本からはたくさん学んでいます。茂一さんはまさに自分の父親の一歩先の姿だ。もうオレの名前は出てこないし,徘徊行動はそれはもう豪快だし,母親も弱ってきたので排泄の問題が出てきたら家族だけで対応できなくなるだろう。自分の都合を押し付けていると言われてしまった好太郎さん,良くやっていると思うぞ。これから続くであろう道のりを気重にならずにやっていこうと思う。経験豊富な久坂部さんには,こっち方面の本をまだまだ書いてほしい。こっち方面の本なら是非読みたいです。 2019/10/08
ナイスネイチャ
143
図書館本。父が認知症になり、自宅で介護する事になった主人公。難題が次々出てきて最初は我慢できず感情爆発するが最後は感謝の気持ちを持つぐらいに成長。他人事ではなく近い将来自身も通る道かもと思うと・・。勉強になるところが沢山ありました。2019/10/02