出版社内容情報
2016年７月、６都府県警から派遣された機動隊員約500人が、人口140人ほどの沖縄・高江に集まった。ここで起きた攻防、国家による暴力は、日本のどこにでも起こりうる。国家権力が牙をむき出しにする現場に通い続けた番記者による、渾身のルポルタージュ。
内容説明
人口１４０人ほどの「東村・高江」。自然豊かな小さな集落を取り囲むように、「米軍ヘリパッド」の建設が計画された。建設に抗議する市民に、政府は本土の機動隊約５００人を派遣。排除のため、むき出しの暴力が市民に牙を剥く。「静かな普通の暮らし」を求める沖縄の声を、強権発動してまでも抑えつける政府。記者の目に映ったのは、この国の危機の縮図であり、あすの本土の姿だった―。本土では伝えられない、沖縄の山奥で起きた「１６５日間」に迫る。
目次
プロローグ 民意と敵意
第１章 暴力と抵抗
第２章 弾圧と人権
第３章 断絶と罵倒
第４章 無法と葛藤
第５章 破局と隷従
エピローグ 絶望と希望
著者等紹介
阿部岳［アベタカシ］
１９７４年東京都生まれ。沖縄タイムス記者。上智大学卒業後、９７年沖縄タイムス社入社。政経部、社会部基地担当、フリーキャップなどを経て北部報道部長（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カープ坊や
20
沖縄・高江 そこに暮らす方々の事は一切考える事なく 東京、大阪などから住民を弾圧するために派遣された機動隊員。 沖縄のおじぃ、おばぁに屈強な機動隊員が振るう暴力。 沖縄の方々に対して「土人」「シナ人」と差別、侮辱する機動隊員。 沖縄差別の実態を実際に現場で取材し その眼で目撃してきた記者さんの渾身のルポ。 本土日本人必見の一冊。 現場を取材することなく ネトウヨさんたちの戯言をそのまま放送した某テレビ局のニュース女子とかいう番組の方々には是非！是非！読んでいただきたいです。2017/10/10
またの名
15
住民140人の集落に機動隊が500人派遣され（最凶と言われた指定暴力団の首領逮捕、日本への琉球組み入れ動員数と同じ）、有刺鉄線を切った被害総額二千円の容疑で男性を五ヶ月勾留。揉み合いになり負傷者が出るほどだが機動隊側の暴行者は誰も名指されないまま、楯突いた者は傷害容疑で逮捕。そこで繰り広げられる非日常的な光景は、本土ではアニメや映画でしか見れない法が停止した半戦闘状態のよう。行政による法の執行ではなく法の無視が常態化してる環境に長く慣れた隊員がどのような心境になるのか、むしろ気に掛かる。土人発言の出た場。2018/09/19
Machida Hiroshi
11
本書は、沖縄タイムスの記者が実際に高江に通って、政府が人目につきにくい場所でなら、どんな暴力的な手を使っても国民よりも米軍のために力を尽くして基地を作る姿を記録したルポです。沖縄のやんばるの山の中の小さな村で、日本政府の手によってどんな酷いことが行われたのか、本土のTVではあまりニュースにならないので、おそらくほとんどの本土人は知らないと思います。政府が米軍に国土を自由に使わせているのも、住民を暴力で押さえつけられるのも、僕らが何も知らないからなのです。「一番怖いのは無知と無関心」。心に刻みたい言葉です。2017/09/07
イボンヌ
8
国家の暴力、という言葉以外に思いつきません。 2020/07/05
Takako
8
読んでいる途中でも書きましたが、ひとりでも多くの人に読んでほしい本です。そして一緒に考えたいです、この国の民主主義について。私たち世代にとって自由や権利や平和はあまりにも当たり前にありすぎて、失いつつあることに敏感になれないのかもしれません。この本は、わたしと同じように1995年の米兵3人による少女暴行事件をきっかけに沖縄を放っておけないと考えるようになって、東京から沖縄の新聞社に就職したひとりの記者によるものです。沖縄の事実を伝えることが自らの仕事だと。私も私だからできることをしようと、改めて思いました2017/09/13
