出版社内容情報
【文学/日本文学小説】黒田みつ子、もうすぐ33歳。男性にも家庭にも縁遠く、一人で生きていくことに、なんの抵抗もないと思っている。ただ時々、迷ってしまうことも。そんな時は、もう一人の自分「A」に脳内で相談をするのだが……。著者初の新聞連載小説。
綿矢りさ[ワタヤリサ]
内容説明
黒田みつ子、もうすぐ33歳。一人で生きていくことに、なんの抵抗もない。だって、私の脳内には、完璧な答えを教えてくれる「A」がいるんだから。私やっぱり、あの人のこと好きなのかな。でも、いつもと違う行動をして、何かが決定的に変わってしまうのがこわいんだ―。感情が揺れ動かないように、「おひとりさま」を満喫する、みつ子の圧倒的な日常に、共感必至!同世代の気持ちを描き続けてきた、綿矢りさの真骨頂。初の新聞連載。
著者等紹介
綿矢りさ[ワタヤリサ]
1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。2001年『インストール』で第三八回文藝賞を受賞しデビュー。2004年『蹴りたい背中』で第一三〇回芥川賞を受賞。2012年『かわいそうだね?』で第六回大江健三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
429
綿矢りさは久しぶりに読む。構成が特異な小説である。ノゾミさんや多田くんといった、通常の意味での登場人物もいるが、語りてのみつ子にとって、最も重要なのは彼女の脳内に住むAである。かといって、もちろん彼女がいわゆる統合失調症だというわけではない。彼女にはAが自分自身であることは、ちゃんと自覚されているし、日常のレベルにありながらそれがやや過剰なくらいである。みつ子はしばしばAと対話を試みる。その時、そこに浮かび上がるのがみつ子の日常に対する思惟であり、自分でもよくわからないことが整理されてゆく。脳内で一種の⇒2025/03/20
starbro
409
綿矢りさは、新作中心に読んでいる作家です。金原ひとみVS綿矢りさの同時新作対決で、今回は綿矢りさです。今時の30オーバーの女性のリアルな恋愛事情、もどかしいなと思いつつ興味深く読みました。年を重ねる毎に面倒な気持ちになり、「おひとりさま」として自己肯定するのは理解出来ますが、日本の未来を考えると恋愛、結婚、出産、子育てと頑張って欲しいと思います。税制、会社の昇進、各種手当、子育てサポート等で、もっとメリットを享受できる制度改正も必要なのではないでしょうか?今回の対決は、綿矢りさに軍配を揚げます!2017/01/26
zero1
318
初期の綿矢は「リズム命」だったけど、本書はやや落ち着いて「おひとりさま」の世界を描いている。主人公は32歳のみつ子。彼氏ナシ(泣)だけど、もう一人の自分Aがいてアドバイスしてくれる(!)。これってDID(解離性同一性障害)なのか?虐待ではないので悲壮感はない。歯医者との恋愛話は笑えた。取引先の営業マン多田が近くに住んでいて夕食を持たせてあげるみつ子。女性読者から見て共感できる内容なのか気になる。朝日新聞連載。久しぶりに綿矢の作品を読んだが、確実に進化している。でも「これっ!」という決め手がほしい。2019/02/17
茜
267
わたせせいぞうさんのカバー絵につられて選んだ本。おしゃれな感じがしていいですよね。何故か私は「綿矢りさ」さん本人を思い浮べながら読みました。いつだったかテレビに出演した際に共演者から質問された時に上を見て考えて答えていたのできっと彼女の脳内にはもうすでに「A」が居たんだと思うんですよね。だから、小説というよりはエッセイ感覚で読みました。きっと何人もこういう風に脳内でアドバイザーを持っている人っているんだろうなぁと思いました。2019/02/08
ナイスネイチャ
236
図書館本。アラサーおひとりさま女子の話。なんかドラマでこんな感じの設定あふれてないかな?おっさんの私には共感部分は一切ないので感想も辛口ですいません。2017/02/12