出版社内容情報
サブカルチャーをめぐる想像力は終わりを迎えてしまったのか? 「少年ジャンプ」が映し出す少年マンガの現代性、ロボットアニメにみる少年たちの成長物語、AKB48が示したサブカルチャーの未来……新しい世代のためのサブカルチャー入門。
内容説明
本書は、二〇一六年四月から七月に京都精華大学で開講された講義「サブカルチャー論」を再構成したものです。
目次
“サブカルチャーの季節”とその終わり
「週刊少年ジャンプ」の終わりなき日常
「ジャンプ」の再生と少年マンガの終わり
補論:少年マンガの諸問題
坊屋春道はなぜ「卒業」できなかったか―「最高の男」とあたらしい「カッコよさ」のゆくえ
“鉄人28号”から“マジンガーZ”へ―戦後ロボットアニメは何を描いてきたか
富野由悠季とリアルロボットアニメの時代
宇宙世紀と「大人になれないニュータイプ」
戦後ロボットアニメの「終わり」のはじまり
碇シンジとヒイロ・ユイの一九九五年〔ほか〕
著者等紹介
宇野常寛[ウノツネヒロ]
1978年生まれ。評論家。批評誌「PLANETS」編集長。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部非常勤講師、立教大学兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
37
講義の語り下ろしで、植字が工夫されており非常に読み易い本でした。本書にはサブカルの入門と著者の語りのレベルに注目する、2通りの読み方があるように思います。前者において、本書は文句が付けようのないほど良い出来です。しかし、いうまでもなく注目するのは後者です。第2回で戦後マンガが担うテーマを論じたのが大塚英志だと、作家以外で批評家の名前を出します。(後は後半で少し宮台と浅田に言及があるくらい)この後に展開される車田正美論や高橋留美子論、高橋ヒロシ論など主要な内容は東浩紀の語っている内容と瓜二つで、どちらがパク2021/04/04
akihiko810/アカウント移行中
24
80年代以降のサブカルチャー(漫画、アニメ、アイドル)と社会を読み解く。印象度A 京都精華大学での宇野の講義を再編したもの。漫画はジャンプ史、アニメはロボアニメ中でもガンダム、エヴァと基本的なのを押さえ、セカイ系や日常系まで。そしてなによりアイドル史も押さえているところが新しい。 60年代の政治運動の挫折を経て、政治の季節から70年代以降は「サブカルチャーの季節」(世界を変える、ではなく自分を変える)になった。だからサブカルチャーを語ることは、今とこれからの社会を語ること足りえた。2023/11/10
ケー
19
面白くて2日で一気読み。宇野流批評のエッセンスが凝縮された一冊。正直最近は宇野さんの本から離れていたけれど改めてすごい批評眼をもった方だと感じた。大学の講義を元に作られた経緯もあり、日本のサブカルチャーをきちんと整理して学べる。メインの題材は「漫画」「ロボットアニメ」「アイドル」。特に「漫画」はジャンプで描かれてきた「成長」の表現をいくつかのパターンに分類してみせたのは驚きだった。「アイドル」は宇野さん自身が夢中になっていた6~7年前と比べるとトーンがやや落ち着いていて、だからこそその批評も興味深い。2018/04/29
hk
17
こりゃあ面白い。「ギャラクティカマグナム……ただの右ストレートですね(笑)」 マサミスト(車田正美信奉者)に対する果たし状としか思えない講義録だ。いいか宇野ちゃん、ギャラクティカマグナムには並々ならぬ魂が宿っているんだ。アニミズムで検索な。だから被害者の諸君はくまなく体育館の天井まで吹っ飛ぶという寸法だ。そして本書では不朽の名作「男坂」が3巻で完結したことになっているが、2013年から連載が再開されているぞ。宇野ちゃん、3巻末尾にある「未完」という車田正美入魂の揮毫を見落としていたようだな。ドンマイだ!2018/05/16
阿部義彦
16
0年代の宮台真司?「母性のディストピア」でラノベ、アニメファンから絶賛を浴びた著者の大学での講義録を抜粋して文字に起こした物です。「母性の~」は主にアニメが主題なので私が読んでも分からないので遠慮しましたが、コチラは大学生に歴史的に黎明期から語ってるので、私にもとっつき易く楽しめました。主にマンガ、アニメ、アイドルの回を中心に纏めてます。漫画は読んでないけど概ね分かりましたが、アニメはマジンガーZ以降は見てないので「ハルヒ」→「らきすた」→「けいおん」などは雰囲気だけでしたが流れや意義はよく分かりました。2018/04/01