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ヤモリ、カエル、シジミチョウ

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  • サイズ B6判/ページ数 410p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784022512291
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

虫と話をする幼稚園児の拓人、そんな弟を懸命に庇護しようとする姉、ためらいなく恋人との時間を優先させる父、その帰りを思い煩いながら待ちつづける母―。危ういバランスにある家族にいて、拓人が両親と姉のほかにちかしさを覚えるのは、ヤモリやカエルといった小さな生き物たち。彼らは言葉を発さなくとも、拓人と意思の疎通ができる世界の住人だ。近隣の自然とふれあいながら、ゆるやかに成長する拓人。一方で、家族をはじめ、近くに住まう大人たちの生活は刻々と変化していく。静かな、しかし決して穏やかではいられない日常を精緻な文章で描きながら、小さな子どもが世界を感受する一瞬を、ふかい企みによって鮮やかに捉えた野心的長篇小説。

著者等紹介

江國香織[エクニカオリ]
1964年東京生まれ。1987年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞、1989年「409ラドクリフ」でフェミナ賞、1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2007年『がらくた』で島清恋愛文学賞、2010年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

132
虫等を愛でる子供のピュアな感性は母親には中々理解できないと思いますが、普通父親が通ずるものがある気がするけれど、恋愛主義の父親には無理なのかな?数年前、家の庭に住んでいたトカゲをふと想い出しました。核家族が増えている中で家族を描いた作品が多いのは、やはり家族・愛を皆求めているのでしょうか?2014/12/05

かりさ

117
瑞々しくまばゆい世界。表紙のようにやわらかであたたかな色合いに彩られた拓人の世界は純粋で愛おしい。子供の世界は不思議で、たぶん大人になると理解できないことも多くなってしまうけれど、私たちにも確かにあったのだ。拓人の見るもの、感じるもの、その感性すべてが愛おしく、取り巻く大人たちその過去も現在も深く読み入ってしまうほどリアルでとても切ない。切ないけれど愛らしい。人間のどうしようもない闇が深さを増すさ加減はさすが江國さん!と堪能しました。最後に描かれた彼らを読んでぐっときてしまった。良かった。とても良かった。2015/09/07

風眠

112
言葉の発達は遅いけれど虫と話ができる幼稚園児の拓人。そんな弟を必死に守ろうとする小学生の姉・育実。ためらいなく恋人との時間を優先させる父。そして、その帰りを思い煩いながら待ち続ける母。それぞれの言い分、それぞれの目線。もつれる愛、すれ違う心、焦燥とあきらめ。大人たちが愛憎の中でじたばたしていても、子どもたちの世界は、なんて豊かなんだろう。拓人の章では、まだ言葉の概念が未発達な子どもの心を、ひらがなで書き表し、成長とともに漢字が入り交じった文章になっていく。こういう成長の表し方は、文章ならではの魅力と思う。2014/12/12

優希

100
自然に包み込まれているような雰囲気が素敵でした。家族の視点と拓人の視点で巡る物語は不安定ながらも独特で、豊かな世界観を感じます。拓人を軸に描くとき、ひらがなばかりなのが少し読みにくかったことは否めませんが、だからこそダイレクトに自然を感じていることが伝わるのかもしれません。全身で四季を感じること、それはとても感性が満ちあふれていることなのでしょう。普通とは少し違う日常が印象的でした。2017/07/08

tokotoko

61
物悲しいような、逞しいような、烈しいような、穏やかなような・・・。相反するものを数多く秘めたお話です。超越した能力を持つ拓人くん、その拓人くんを頼りにしながら成長していく姉、育実ちゃん。その母、奈緒と、父親の耕作。この一家と、つながりをもつ人々が近づいたり、離れたり、絡まり合ったりする日々。江國さんの文章は、読み終わると、何かの弦楽器か鍵盤楽器の音を聴き続けたような印象を持ちます。最後は、フォルティッシモで終わります。強烈な余韻を残す1冊です。2014/12/25

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