出版社内容情報
【文学/日本文学小説】江戸後期、白黒騒動が激化する小倉藩。勘定方の青年・印南新六は、かつて生涯をかけて守ると誓った女性・吉乃のため、刺客として騒動の中心に巻き込まれてゆくが──。互いに思いを通わせながら、同じ道を歩むことができなかった男女の運命を描く感動の長編時代小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あん
79
今回も、胸が熱くなりました。またまた、悲しい終わりでしたが、それでも葉室文学は、心を癒してくれます。ただ、最近似たような展開が多い気がして、ラストがわかってしまうのは、ストーリーが定番化してきているからでしょうか(^^ゞ2015/05/07
それいゆ
78
主人公が抱くかなわぬ恋心に翻弄される葉室さんお得意のパターンでした。ラストの描写があまりにもあっけなくて、もう少し新六や彼を取り巻く吉乃とその主人の菅源太郎の心情を描いてほしかったです。他の方も書かれているように、最近の葉室作品は男女の三角関係を題材にした話が多くて、こんがらがってしまいます。もっと斬新な新境地の作品を願望しています。2014/11/29
あすなろ
57
人としての想いから、自分以外に嫁いでいる人を護る。そんな悲哀の恋物語。想いを互いに寄せながら、各々自ら望まない運命に翻弄されていく。望まない運命に人生を進まされるのは、馬鹿正直者だからなのか?限定された現代とは異なる封建社会という枷が嵌められた中で、現世では結ばれなかった男女の物語。馬鹿正直という言葉が相応しいか否かは個人的にやや疑問だか、葉室氏らしく清冽な男女の想いを時代小説に転写されている。葉室氏の筆力のなせる技であると思うが、これが定食のようにパターン化されないといいが。2015/02/14
キムチ
49
呻吟しつつ読了。作風が合わないというより、これぞ江戸期!という生き方に感情を添えないという私に原因があるのだろう。1815年の史実に基づいた小倉藩の黒白騒動を題材に取っている。九州探題という非常に重要な地を統べる位置にありつつ愚昧に尽きる藩主の上昇気運に引きずられ2分した家臣達が辿る運命が辛い。主人公新六は最たるもの、武術の達人であるが故に翻弄される。想い人の生き方は今なら如何様にもそしりを受けよう・・だがこの時代よくあった思考経路ではなかったろうか。それにイラつくのも時を経て現代に読む時代小説の醍醐味か2015/05/02
starbro
39
いつもながら葉室麟の世界は良い意味で渋いです!今回はハードボイルドの匂いも感じられます。私は新六の生き方はカッコいいと思いますが、女性読者はどう感じるのでしょうか?2014/11/10