終わりと始まり

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  • サイズ B6判/ページ数 229p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784022510969
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

C0095【文学/随筆】朝日新聞本紙好評連載の単行本化。沖縄、水俣、東日本大震災の問題にかかわり続け、いまその発言がもっとも注目される小説家が、少数者の居場所や原子力優遇策への批判、震災後の心の傷にふれる。深みのある思索の名コラム。

内容説明

何かを終わらせ何かを始めるためには、一つの積極的な意志が要る。2009年から2013年まで朝日新聞好評連載。現実の深奥をとらえ、深い思索を積み重ねた廉直な名コラム48。

目次

ギャップ・イヤー
イラク戦争の後始末
言葉の生活感
空中の視点とエコロジー
多文化の実現とウレシパ
三千人のダンサー
上から降る言葉
デジタル化で失ったもの
普天間移転問題の打開案
勝利の快感と天才の誘惑〔ほか〕

著者等紹介

池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年北海道帯広生まれ。作家、詩人、ギリシャ、東京、沖縄、フランス、札幌と移住し、世界的視野からの創作と評論活動を行う。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、94年『楽しい終末』で伊藤整文学賞、96年『ハワイイ紀行』でJTB紀行文学大賞、2000年『花を運ぶ妹』で毎日出版文化賞、『すばらしい新世界』で芸術選奨文部科学大臣賞、04年『静かな大地』で親鸞賞、05年『パレオマニア』で桑原武夫学芸賞、11年個人編集の世界文学全集で朝日賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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夜間飛行

66
池澤さんは美しいものを素朴に語る人だ。なればこそ、言葉に大きな関心を寄せている。ヤガン族の辞典から、アイヌ語、日本語へと目を向けていく時、言語を通じて我々の生きる現実が見えてくる。共に生きるという言い方はヘタをすれば陳腐になりかねないけれど、それが一番リアリティを持つのは言葉の領域かもしれない。水俣病について丹念な聞き取りをした岡本達明の仕事を、ビーグル号の航海に重ね合わせている。池澤さんは、現実の欠片から世界を再構成するのに自覚的な作家だ。本書を読むとゼロから物語を組み立てる仕事場を見るような気がする。2015/01/30

あやの

49
2009~2013のコラムなので、書かれたのは随分前ということになるけど、その頃の世界情勢から「平和」について池澤さんが考察している。もう忘れてしまってたことを「そんなことがあったなぁ」と当時を思い出しつつ、10年たっても私たちの社会は大して(良い方に)変わっていないことに愕然とした。普天間基地の問題も原発をどうするってことも、女性が進出しづらい社会であることも。震災があってから私ですら「これから社会は変わるかも」と思ったのに。コロナ後はどうだろう。また10年後、振り返って記録を読みたい。2020/10/17

踊る猫

36
東日本大震災を挟んだ期間に記された池澤夏樹のこれらの時評において、印象深いのは池澤が「なじらない」と「あおらない」を主軸に据えて主張を丹念に続けてきたことだ。だが今回あらためて読んで印象を変えた。池澤はここでたしかに彼らしい「怒り」を吐露している。なるほどそれは破壊的かつ暴力的な主張としては結実していないが、それでも「どうしてこうなった」というツッコミの目線は決して外してないと思うのだ。個々の主張には納得できないところもある。あるいはやや迷走を感じる文章もある。だけど、円熟した知識人の語りとして感じ取れる2024/01/05

Willie the Wildcat

21
物事の境目。終わりが始まりであり、始まりが終わり。政治、経済、文化など多種多様な面での変化。特に、利便性の追求で失ったものを振り返る。”肉体感”・・・。実感、手触り、触れ合い、人間関係、そして言語・・・。五感の鈍りと解釈。これらが、知覚にも影響しているのかもしれない。軸を時に振り返り、自身の考えを常に問う姿勢。大義とスジなんだろうなぁと感じる。2013/10/22

かいゆう

14
2009年4月から2013年3月まで朝日新聞に掲載されたコラム集。戦争、政治、普天間移転、震災、原発、水俣病、言葉。こうやって見ると、解決していない問題ばかり。『今、気になっているのは、みんなが「考える」より「思う」でことを決めるようになったことだ。五分間の論理的な思考より一秒の好悪の判断』選挙を見ていると、ホントそう思う。日本にいると視野が狭い。世界も見ることができてよかった。鋭い意見をはっきりと述べているにもかかわらず、嫌な感じのしない本でした。2014/01/21

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