出版社内容情報
日中関係が緊迫化する中、新たな指導部に代わる中国共産党内部で権力闘争が激しさを増している。2012年2月に起きた米総領事館駆け込み事件で失脚した元重慶市長・薄熙来。「次世代の指導者候補」はなぜ狙い撃ちにされたのか――。巨万の富を独占する党幹部の高弟たちが権力をほしいままにする実態を浮き彫りにし、「習近平体制の中国」に迫る圧巻のノンフィクション。
内容説明
江沢民vs.胡錦涛の海外メディアも巻き込んだ壮絶な情報戦!中国・権力闘争の真相に迫るこれぞ「生きた」現代史。天安門事件以来、最大の政治事件を突破口に朝日新聞記者が中国の闇に切り込む圧巻のノンフィクション。
目次
第1部 薄煕来(「皇帝になる」主席接待で台頭;「未来の中国は、我々が引っ張るんだ」;初婚相手は元書記の娘、父の政治力で離婚 ほか)
第2部 赤い貴族(幹部蓄財、子弟に注ぐ。ダイアナ妃も住んだ高級住宅;派手な留学生活、エリートへの肩書づくり;留年危機で、中国高官が大学に圧力? ほか)
第3部 指導者たち(尖閣緊迫、院政へ転換。「引退」の胡錦涛総書記;地方勤め25年「底辺から国を立て直そう」;名刺には「白羽」、台湾の副教授と接触 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しーふぉ
22
薄熙来と習近平は共に父親が元副首相まで務めた幹部でありライバルであったが、習近平は敵を作らず堅実に実績を積み上げていき、薄熙来は就任した市や省で経済発展を成し遂げ、辣腕ぶりを発揮する一方で平気で部下を夜中に呼びつけたり叱責したりと敵も多かったよう。更に貧富の差を少なくするための政策を提言するなど、党中央とも摩擦があった。その政策のため失脚した今でも民衆からの支持を集めている。中国でも日本でも政治の世界では二世ばかり。事件がなければ中国は次期政権を習近平と薄熙来どちらに託したのだろうか?2017/05/10
北本 亜嵐
12
習近平政権が誕生する直前、中国共産党は「薄煕来事件」で大きく揺れていた。その影響は党大会の開催がずれ込み、混乱ぶりを招くとは想像もしなかったであろう。彼の事件を皮切りに現政権の誕生までを淡々と書いている。習近平と薄煕来を対比することで見えてくるものは何だろうか。まだこの国には「深い闇」があるように感じた。2015/12/02
ケニオミ
3
駅前などで日本共産党の議員が演説しているのを見ると、共産主義を本当に信じているのか(胸倉を掴んで?)問い質したくなる衝動に駆られます。どなたかが「神を抜きにした平等が、天国を目指して地獄に落ちた」といみじくも述べていましたが、その通りのことが今まで共産主義国家に起きてきました。本書で示されている通り、天国を目指すことすら放棄し、現世に富を蓄えることしか考えていない状況を考えると、中国も早晩同じ道を歩むに違いないでしょう。「動物農場」のように支配される貧乏人のみ平等という構図は早くなくなって欲しいですね。2013/01/24
wuhujiang
2
前半は薄熙来事件について、後半は習近平や李克強について。印象に残ったのは後半。派手好きで独自路線を歩み、妻の殺人容疑から一気に失脚した薄熙来。優秀で若いころから総書記候補とみなされていながら、長老たちへの人脈つくりを欠き李克強。彼ら2人と異なり、習近平がしたたかに地方での仕事をこなしながらも人脈作りに励み、次期総書記の座をつかみ取っていく過程が書かれている。また、建国元勲の息子"紅二代"であり、共産党への忠誠心も評価されたとのこと。中国の地方政治も含めて血筋やコネが重視されていることも説かれている。2024/05/19
残留農薬
2
古本屋で発見、この連載記事は面白かったな2014/03/28
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