出版社内容情報
【文学/日本文学小説】謎めいた女の手引きで降霊の儀式に導かれた初老の男。死者と生者が語り合う禁忌に魅入られた男が魂の遍歴の末に見たものは……。至高の恋愛小説であり、一級の戦争文学であり、極めつきの現代怪異譚――。まさに浅田文学の真骨頂!
内容説明
罪がない、とおっしゃるのですか―死者と生者が語り合う禁忌に魅入られた男が見たものとは…。至高の恋愛小説であり、第一級の戦争文学であり、極めつきの現代怪異譚。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。1995年『地下鉄(メトロ)に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員(ぽっぽや)』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で司馬遼太郎賞、中央公論文芸賞を受賞、2008年には、『中原の虹』で吉川英治文学賞を受賞。2010年には、『終わらざる夏』で毎日出版文化賞を受賞する。2011年5月に日本ペンクラブ会長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
ミスランディア本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
96
霊能力者ミセス・ジョーンズの家で行われる降霊会で、ゆうちゃんが出会ったのは、キヨと真澄、梶の三人。ゆうちゃんとそれぞれの3人に関りが語られていく。キヨとの関りでは、戦争の影響が色濃く残る親子の強い絆や辛く悲しい人生が語られ、真澄や梶との関りでは、愛する男に自分の気持ちを分かって貰えず、「さよなら」も言っても貰えないで短い命を落とした女の儚い人生が語られる、又梶の切ない恋心も。極めつきの現代怪奇談。超一級の恋愛小説であると同時に、戦争文学の要素もある浅田文学の傑作だ。 2021/12/19
ひさか
68
ホラーというか、そういう味付けのお話ですが、お話の運びに興味が持てないというか、浅田さんにしては、面白くないなぁという感じで、残念でした。2012/06/05
あつひめ
63
浅田さんの作品、久しぶりに読みましたが、心のひだひだの中から何かへばりついたものを搔き出すような印象を受けた。浅田さんの「手」だと思うけど。なかなか重苦しい内容だった。何気なく薄れていく記憶。でも、振り返る時間の中にはキッチリとその記憶と同じものが、そして心の葛藤が置き去りにされている。自分で鍵をかけてしまっているのかもしれない。会いたくない自分に・・・。でも・・・ある程度の年齢になるとふたを開けずにはいられなくなる・・・そう思わせるような浅田作品。また・・・手を伸ばしちゃうんだろうな~。2012/07/03
サトシ@朝練ファイト
57
浅田次郎の作品は「歩兵の本領」に続いて二作目。中盤以降はイッキ読みで、なるほど最後はそうまとめましたか。父親二人の戦争体験は、最近の作品の中ではかなり秀逸で「永遠の0」の作者にも読んでもらいたいと思う。2014/11/09
suna
54
昔、浅田さんの作品ばかりを読んでましたが、その時の雰囲気を思い出しました。モヤッとした空気の中で読んでる感じでした。死者と生者が語り合うストーリー。前半は主人公の子供の頃の話。キヨとの話がよかった。後半は主人公が真澄に「さよなら」を言ってあげてほしかった。結末がなんだかちょっと納得いかなかった。2014/03/30