出版社内容情報
言葉は指先から泡立つソーダ。世界の不思議とおかしみ、作家としての覚悟、言葉への懐疑と信頼、学生時代の思い出、父と娘の関係、コミュニケーションへの違和感……。身近な出来事から世界をめぐる思索まで、いま最も端正な文章をつむぐ新鋭の初めてのエッセイ集。『人のセックスを笑うな』での鮮烈なデビューから現在にいたるまで、執筆した全エッセイを収録。朝日新聞土曜「be」連載の単行本化。
内容説明
朝日新聞土曜「be」連載の表題ほか、デビュー作『人のセックスを笑うな』以降に書かれた全エッセイを収録。
目次
1 指先からソーダ(父の「退職願」;伝わらなくてもいいんだ;シロップをこぼした場合の処置法 ほか)
2 書評/解説(俵万智著『プーさんの鼻』書評;小島信夫著『残光』書評;金子光晴著『流浪 金子光晴エッセイ・コレクション』解説)
3 そのほかのエッセイ(受賞の言葉;あるがままのドロップ;小説への旅 ほか)
著者等紹介
山崎ナオコーラ[ヤマザキナオコーラ]
1978年、福岡県生まれ、埼玉県育ち、東京都在住。2004年、会社員をしながら書いた小説『人のセックスを笑うな』で第41回文藝賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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pino
173
タイトルがいい。ナオコーラさんが受け取る日常の一齣は、どんな味だろう。収録されたエッセイでは「あきらめるのが好き」「くもり空が広がる」が好み。教訓めいたものや、オチもなく、一瞬、ひろがった世界を独特の視点で表現している。言葉とともに彼女もフワフワ舞っているようだ。この人にしか出せない味だ。それでいて指先ソーダはなかなか手強い。彼女の一歩も引かない強さには気圧される。「飴のような小説を書きたい」との一連の文章から、甘さの中に尖ったものを感じた訳が分かった。表現者としての彼女の試みに期待。割れた飴も楽しもう。2014/05/15
nico🐬波待ち中
101
ナオコーラさんはとても可愛い人だ。いろんな意味で「自由」な方だと思う。中でも『栞が導くいろんな世界たち』の本の話に共感した。子供の頃から本好きだったナオコーラさんの「本は勉強のためにあるのではないよ。戻る気があれば、本を逃げ場にしてもいいんだよ」が強く心に響く。読書で自分の世界を広げ、元気になってからまた現実の人間関係の中へ果敢に飛び込む。そうだよね、いつか戻ればいいんだよね。ナオコーラさんのキッパリとした文章に救われる。可愛がっている妹分のお喋りを隣で聞いている気分で、気軽に読めるエッセイだった。2018/03/14
Natsuko
29
ナオコーラさん7冊目。クセ強、ポリシーがめんどくさそうな人だけど、好き。2012年結婚、2016年第一子出産、2021年の今二児の母となられているが、本著発売は2004年。結婚も出産も未知数の状態で書かれており、面白い読み方ができる。その後ステキなご主人と出会って良かったですね✨「朝〜本に手を伸ばす。栞を引っ張ると、気の抜けた行間から、しゅわしゅわと音が、〜段落の上に溢れ出す。」「私は改札が好きだ。異世界への境目をまたぐような、文章にいったん句点をうって「そして」と続けるようなドキドキ感がある。」 2021/04/25
さわこ
18
エッセイ集。デビューから1~2年の間に書かれたもののようで、作家生活への意欲が随所に見られます。「ラジオ体操の人々に囲まれて年明け」「最近どう?結婚しないの?」「素敵な不動産屋さん」が良かったです。特に、恋愛に関しては「相手が自分に何をしてくれるか」よりも「自分がどうするのか」を考える方が重要だという考え方に共感しました。素敵な感性をお持ちの作家さんだと思います。★★★☆☆2022/01/30
ありんこ
8
どんな子供時代を過ごしてきたか、そしてなぜ本を書いているのか。作家さんの正直な気持ちをとても素敵な言葉たちで真摯に書いたエッセイ。またいつか読み返したいような表現がたくさんちりばめられていて、お腹いっぱいです。本をたくさん読んでいてもこんな文章は書けないなあ~せめてナオコーラさんの本をまた読んでみよう!2015/10/28
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- 和書
- 総合薬剤学 (2版)