出版社内容情報
手塚治虫のライフワーク『火の鳥』12作がオリジナルのB5サイズで復活! 手塚治虫のダイナミックな描線を堪能できる大判サイズ。生誕80年を記念し、なつかしのデザインで毎月2冊ずつ刊行。最終回となる今回は「太陽編」と「ギリシャ・ローマ編」の2冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
61
信仰とは何か、宗教とは何かを時空を超えて描く。「太陽編」の太陽とは、太陽神としての火の鳥であり、日出る国である日本国の天を照らす大神を指していたのか。時代とともに新しい信仰は生まれ、古い宗教との葛藤を呼び、宗教が政治と結びついた時、争いや悲劇を生む。政治と結びついた大神と、アニミズムを象徴する狼を対比させ、人類の宗教戦争が繰り広げられる。手塚治虫の着眼点の鋭さと構成力の見事さをあらためて感じた作品だった。2025/04/20
zero1
52
日本書紀の世界と遠い未来はどこでクロスする?両方の世界に共通しているのは宗教の存在。犬上は人間界の戦争、狗族と仏教の争いにどう絡むか。戦いで傷ついた魔物たちの傷を癒す話は【異形編】と繋がる。宗教に関する火の鳥の言葉は重い(後述)。スグルを【軍神】に仕立て上げる指導者は、かつての日本と何も変わらない。政治と宗教、そして戦争。終盤はファンタジーという構成は見事。「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(村上春樹)を思い出す。永遠に読み継がれるべき傑作。特に日本会議の方々はよく読んで学んでほしい。2020/08/12
りんご
40
いつの世も権力を望む一部の人間によって、多くの人や動物や大地が傷つけられる。なんか情けなくなってくるね。八百比丘尼の地へ案内されるシーンは思わずニヤリ。人に戻った犬上の目には産土神たちは映らない。それを知ったマリモのページは全力で悲しい。そして未来へつながるのね、なるほどねー。権力とか勝敗とか言わず、全ての命が愛し愛され死ぬ世界であってほしいですね。2022/05/11
かっぱ
30
【再読】仏より地の神よりも、最も強い神として太陽神(火の鳥)が描かれている。万物の創造主ということでしょうか。ある時代に結ばれなかった二人が千年の時を経て、やっと結ばれる。手塚流ロマンス。2014/07/25
出世八五郎
26
これで完結。アラファトが死んだ後、たくさんの隠し財産が見つかりました。その財産はパレスチナ問題に使われず、アラファト未亡人の懐に納まりました。本書のテーマは宗教紛争の愚かさについてです。そして、古代と未来を並行的に描き、1000年後に恋が成就するという。手塚さんはサンサーラ=輪廻転生を信じていたと思う。2016/02/13
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- 和書
- ゆうぞらビール 双葉文庫