出版社内容情報
手塚治虫のライフワーク『火の鳥』12作がオリジナルのB5サイズで復活! 手塚治虫のダイナミックな描線を堪能できる大判サイズ。生誕80年を記念して、なつかしのデザインで、毎月2冊ずつ刊行予定。第3回は「復活編」と「望郷編」の2冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
63
死を恐れる人は、死からの復活で何を得る?人とロボットの境界線はどこ?【人とは何か?】を手塚らしく医学の限界から描く。25世紀が舞台。生き返ったレオナは人が岩に見えるがロボットのチヒロは人に見え恋する。逃避行にコロラドの羽と日記。ロボットは自殺や恋、殺人が可能?ロビタの脳は誰?猿田も登場。人体パーツの密輸など未来の予測は流石。【ロビタや、もどっておいで】と集団自殺の繰り返し、そしてカットバックは見事な構成。再生医療は【1たす1は1】を実践する?(後述)何度でも読みたい手塚のライフワーク。2021/01/25
りんご
39
これも入りが強く印象に残る。いきなり死んで、死後の世界を漂いところから入る。そして現世へ復活するが、その描写ね。線と無機質の世界。人工頭脳にしたせいで認知能力が誤作動している的な表現だね、完璧。かわいい犬も「ゴウゴウ」と鳴く。全体的に物悲しいですね。章の初めの砂時計の絵も重い印象。最後は猿田博士とロビタが出会います。二人は永遠に時を見守る役目でしょうか。2022/03/31
出世八五郎
25
輪廻転生(※サンサーラ)が火の鳥のテーマの一要素ですが、西暦2480年頃と3000年頃を機械的なサンサーラでつなぎます。〈攻殻機動隊〉に出てくるGhostのようなものが500年間生き続け未来編につながる。機械人間が〈銀河鉄道999〉で登場しましたが、自己改造してまで生き続ける欲望を持った人間の性を表現していたと記憶します。〈アンドロイドは電気羊の夢を見るか〉では、人間と寸分違わぬアンドロイドの存在肯定有無について考えさせました。これは決して古くないテーマで未だ新しい。2015/12/21
あっきー
19
⭐3 人間の心を持ったロボットが主人公の最新SF「マーダーボットダイアリー」を同時読みしていてそれは主人公が感情を持ちケナゲに頑張っている所が良いのだがテーマが偶然よく似ていると思った、人間に人造臓器を移植してロボット化が進むとか不死の身体に脳の全記憶を移しかえる話題は最近珍しくないが手塚治虫は50年前にこの本を書き、やっと時代と最新SFが手塚に追いついたのだから驚きだ2021/11/06
かっぱ
16
事故により身体のほとんどを人工物に置き換えたレオナには、人間が無機物として見え、ロボットが温かい体温を持った女性に見える。未来では人間はだんだんと無機質になっていくのかも知れない。かえってロボットの方が人間的な感情を持ちうるのかも。2013/09/09