感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
7
判断力の究極の原理は自然の合目的性。これを前提にしないと、自然はバラバラで互いにつながらないものの集り。悟性は自然を機械的な諸原因の偶然の産物としてしか見れない。そこで悟性と理性の橋渡しをする判断力という考えが出てくる。判断力は、まだ知られない全体に部分を関係づける能力で、「死んだ自然」に再び生命を吹きこむ。しかし、自然の究極目的を人間の能力の開化(文化)に置くと、例の人間中心主義が出てくる。さらにややこしいことに、社会や歴史までが自然の中に含まれるようになると、社会や歴史の目的が個人の意志を無効にする。2021/06/07