出版社内容情報
『リング』『呪怨』を皮切に,ホラー映画が人気を集めている.先駆的な試みで大きな影響を与えてきた脚本家が,ホラー映画はなぜ人を惹きつけるのか,怖さの秘密は何かを解説し,本当に怖いホラーを作るノウハウを公開.
内容説明
いま明かされる怖さの秘密。『リング』脚本・高橋洋、『呪怨』監督・清水崇と対談。
目次
1 『リング』『呪怨』の怖さ―現代のファンダメンタル・ホラー
2 恐怖の記憶―ファンダメンタル・ホラー映画史
3 特殊脚本家の誕生―いかに私は恐れることをやめて観客席から立ち上がったか
4 恐怖の方程式―“小中理論”とは何か
5 リアリティについての諸問題―疑似ドキュメンタリという表現方法
6 一〇年後の対話―高橋洋氏との対談
7 演出者側との対話―清水崇監督との対談
8 ファンダメンタル・ホラーの新たな地平へ―脚本家としてのマニフェスト
著者等紹介
小中千昭[コナカチアキ]
特殊脚本家。1961年東京生まれ。13歳で特撮映画を完成して以来、成城大学(映画記号学専攻)を卒業するまで、ほぼ年1本のペースで自主制作映画を撮り続ける。1986年、映像制作会社とディレクター契約。テレビ番組、PRビデオ、展示映像制作・企画。1987年からはホラー/SF/ファンタジー系専門の脚本家としてテレビ番組、オリジナルビデオなどで活躍。現在はアニメーションの構成・脚本を中心に活動
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感想・レビュー
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あおさわ
8
結構面白かったです。特に納得したのは「理由をはっきりさせないこと」ですね。恐怖現象の原因をつきつめると「理不尽」な恐怖が理不尽でなくなり、原因のあるれっきとした現象になってしまう。わからないままの恐怖って本当に怖いですよね。あと「終わらない恐怖」。側面から見る理論なので、本当にホラー映画が好きな人のような納得はできないですがホラー映画史や分類分析をとても楽しく読めました。2014/09/21
charuko
2
恐怖は段取りであるという、実践的小中理論を分かりやすく説いた本。段取りとは情報の出し方のことでもあり、ホラー映画のみならず、恐怖を生み出す物語全般に適応できる。彼がこだわった擬似ドキュメンタリという物語の額縁、リアリティの追求との関連性も興味深い。2013/02/19
いちはじめ
2
アニメ・特撮・ホラーなどの脚本家が、ホラー映画に的を絞って、自らの方法論を解説。読み応えあり。このアニメ版も書いてくれんものか2003/10/07
19番ホール
1
ファンダメンタル=原理的な、観客に未知を体験させるものとしてのホラー。それは構造的に組み上げるもので、一瞬の恐怖体験などではなく、あくまで恐怖が蓄積される過程がホラーの真髄である。なるほど。2021/02/07
kozawa
1
日本ホラー映画脚本家としてある意味執筆時点2003年勢いのあったあの頃。2000年前後の日本ホラームーブメントを支えた清水崇中田秀夫高橋洋あたりとつきあいがあった著者がその変のホラーのとららえ方や彼らがやりたかった映画とはなんぞやを代弁するかのように語る語る。もちろん、執筆時点よりだいぶ前のホラー映画や執筆時点近年の海外特徴的作品にも言及色々あり、旬の本ではないかもしれないけど、非常に面白く読みまして。2013/02/01