出版社内容情報
能の大成者・世阿弥は，マーケティングの天才でもあり，彼が残した『花伝書』は優れた戦術書だった！ 「男時・女時」「目前心後」「離見の見」などのキーワードから，現代ビジネスにも通じる人生の智恵を伝授する．
目次
第１章 世阿弥の人生戦略論（リスト時代の「初心」；チャンスをつかむ力こそ、「時節感当」；勝負の波を読む「男時・女時」 ほか）
第２章 世阿弥の創造性（「旅」の発見―境界を越える方法；能は情報カプセル―「名所教え」；能は「夢」のカプセルのなかにある―夢幻能 ほか）
第３章 人生のシステム 世阿弥の人生論（幼年期；少年期前期；少年期後期 ほか）
著者等紹介
土屋恵一郎［ツチヤケイイチロウ］
明治大学法学部教授・能楽評論家、１９４６年東京生まれ。明治大学大学院法学研究科博士課程単位取得。芸術選奨選考委員（古典芸能部門）、芸術祭審査委員（演劇部門）を歴任。功利主義を基盤にした現代の倫理学の構築を目指すが、能、歌舞伎、ダンスなどのドラマ性を思索の源泉としている
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
23
彼は芸術が戦いであることを熟知していた。観客を対象とした人気争い（ⅳ頁）。彼は、老後の初心忘るべからずと言った。若い時の失敗、訓練を忘れないことが成功の糧となる。前々の非を知るを、後々の是となす、と言った（５頁）。人生に終わりがあるも、芸術には終わりがない（９頁）。３０頁は事実誤認で、センは１９９８年のノーベル経済学賞であって、２０００年ではない。要訂正。世阿弥は妥協しなかった。完成目指していつも努力（６３頁）。職人肌の世阿弥。私も１万冊でいいや、って妥協してはいかんけど、私は妥協する。2015/11/27
ceskepivo
6
タイトルは軽いが、世阿弥の哲学を説明しており、風姿花伝を読みたくなる。「世阿弥は、芸術は戦いであることをよく知っていた。しかもその戦いは、抽象的な意味での戦いではなく、はっきりと観客という存在を対象とした人気を争いであり、その人気の争いに勝たなければ、舞台芸術などというもには何の意味もないことをはっきりと語ったのだ。」。能は、役者と観客のこういう緊張感の中で演じられる。そして、能舞台は人生に例えられる。「時節感当」、「男時・女時」、「軽々と機を持ちて」は使ってみたい言葉である。2014/08/06
Kentaro
4
世阿弥にとっての初心とは、新しい事態に対応するときの方法であり、試練を乗り越えていくときの戦略である。 第一には初心を忘れるなとは、人生の試練の時にどうやってその試練を乗り越えたのかを忘れるなという意味です。しかも世阿弥は人間には三つの試練があると言っています。 若いときの初心、人生のそれぞれのターニングポイントにおける初心、そして最後に老後の初心である。 つまり、初心忘るべからずという言葉の意味は、普通に考えられているような最初の志ではなくて、最初の試練や失敗こそが初心という言葉の意味なのである。2018/08/04
sakase
2
100分で名著と似ています。読みやすい。男時、女時などの解釈はビジネス書としてもすぐれている。☆４つ。 国立能楽堂の切符を買いました。2014/05/11
agatarie
1
世阿弥の書いた風姿花伝に基づいて現代への処世術を書いている。100分で名著で話された内容とちょっと被りますが、なかなか面白い内容です。能好きにもたまらない本かもしれない。
