出版社内容情報
殺人事件の被害者遺族と死刑囚の家族がそれぞれの体験を語り合う旅、「ジャーニー・オブ・ホープ」。娘を殺されたアン、息子が死刑囚となったバーバラ、妻を殺され殺人の容疑をかけられたジョージなど、この旅に参加した人びとの心の葛藤を丹念なインタビューで綴る。単行本刊行後の参加者たちのその後のエピソードも収録。
内容説明
殺人事件の被害者遺族と死刑囚の家族がそれぞれの体験を語り合う旅、「ジャーニー・オブ・ホープ」。娘を殺されたアン、息子が死刑囚となったバーバラ、妻を殺され殺人の容疑をかけられたジョージなど、この旅に参加した人びとの心の葛藤を丹念なインタビューで綴る。単行本刊行から二五年を経た参加者たちのその後のエピソードも収録。
目次
プロローグ 「旅」の始まり
1 アン
2 新しい被害者運動
3 バーバラ
4 ロバート
5 死刑囚の子ども時代
6 アバ
7 ノーガード一家
8 ジョージ
9 対話
10 「旅」は続く
エピローグ
著者等紹介
坂上香[サカガミカオリ]
ドキュメンタリー映画監督。NPO法人out of frame代表。一橋大学大学院社会学研究科客員准教授。1992年ピッツバーグ大学社会経済開発学修士課程修了。テレビディレクター、大学専任講師を経て、2012年より映像作家活動に専念。劇場公開作品に『プリズン・サークル』(文化庁映画賞・文化記録映画大賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Willie the Wildcat
58
苦悩の中に見出したい光、模索。表題はその一端。掲載事例でみられるように、時間、吐露・傾聴、”交流”はもれなく一助。一方、普遍的な”尊厳”すら、解釈次第で差異が生じる現実。考察をより複雑にさせるのが「論点交錯」。主軸の死刑制度を囲む、冤罪問題や生い立ち/非健常者などの事例が、思考を三次元・四次元の世界に誘う。更に、意味と意義が問われる「比較」も迷宮を深める。罪による死vs.罰による死。掲載事例の被害者vs.加害者関係者の”痛み”度合は、ましてやである。正解の有無、意味が問われ続ける。2025/08/01
てくてく
5
1999年に出版された『癒しと和解への旅』の文庫版としての復刻。死刑囚の家族とその犯罪被害者遺族とが出会い、体験し、会話を交わすことでそれぞれに影響を与えていく「ジャーニー・オブ・ホープ」の取材を通じて著者が犯罪の加害者と被害者両方を出来る限り理解しようとしている姿勢に共感した。被害者遺族に対して刑事司法関係者が犯人を逮捕して、さらに死刑にすることであなたの気持ちが収まるでしょうと語ってしまうことの功罪などについて考えた。2025/01/25
Go Extreme
2
死刑に関する異なる立場の人々の感情: 死刑支持者・反対者の感情 デモや抗議活動: 死刑執行に対する抗議 被害者の家族の複雑な立場 死刑制度の影響と社会的背景: 厳罰化政策の影響ー「執行のボランティア」 経済的要因 死刑反対運動の活動: 「ジャーニー」の実施 コミュニティへの影響 複雑な家族のダイナミクス: 死刑囚の家族の苦悩 他の被害者家族との交流 社会的な認知と教育の重要性 死刑問題ー法律的な議論+深い人間の感情や社会の構造に根ざした複雑な問題 さまざまな立場からの視点を理解し対話を重ねる必要2025/01/30
雨宮菖蒲
1
ポッドキャストで紹介されていたので、買って読んでみた。本書は今から30年ほど前のアメリカの死刑をめぐる状況について書かれた本なのだが、ここに書かれている当時のアメリカの死刑制度やそれを取り巻く社会の様子が、あまりにも現在のアメリカと違い過ぎて驚いた。一人の老人を殺した15歳の少年に対して死刑判決が下される一方、三人の未成年を殺害してレイプした軍人は司法取引の結果、25年の懲役刑で済むなど、量刑の幅が広すぎる上、死刑判決に至る手続きが不公正で粗雑すぎる。2025/02/14