岩波現代文庫
戦争とたたかう―憲法学者・久田栄正のルソン戦体験

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 440p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006032616
  • NDC分類 916
  • Cコード C0123

内容説明

軍隊は人間性を否定し、人間改造を迫る装置だった…。過酷なフィリピンの戦場から奇跡的に生還し、戦後は日本国憲法の「平和的生存権」実現のために生きた久田栄正(一九一五‐一九八九)に、戦後世代の憲法研究者が徹底した資料探究に基づく質問を繰り返しながら記憶を掘り起こしていく。ダイナミックな手法が光る。証言と対話により時代背景を丁寧に織り交ぜ、戦場の実像が世代を超えて伝わることを示した感動の人間記録である。

目次

1 一貫した反軍精神
2 軍隊の内務班生活―人間改造への抵抗
3 「満洲」へ―経理部将校となる
4 「ルソン決戦」への道程
5 米軍リンガエン湾に上陸
6 退却行はじまる
7 「人間廃業」の戦場
8 日本軍隊の崩壊―降伏
9 捕虜収容所における「憲法論争」

著者等紹介

水島朝穂[ミズシマアサホ]
1953年東京都生まれ。札幌学院大学助教授、広島大学助教授を経て、96年より早稲田大学法学部(後に法学学術院)教授。憲法・法政策論・法学博士。NHKラジオ第一放送「新聞を読んで」レギュラーを一四年務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小鈴

20
晩ごはん時にすみません。この本はこればかり触れた本ではないです。誤解なきよう。 「人肉を喰らう兵」のみ読む。メモ。海上挺進基地第七大隊所属の軍医守屋正『比島捕虜病院の記録』27-31頁、『フィリピン戦線の人間群像』182-186頁に人間の料理人、ジャパンゲリラ。赤松光夫『太平洋戦争・兄達の戦訓』173頁。飯盒にぎっしり塩漬け。この赤松光夫で検索すると官能小説がヒットするが同一人物!?。食べられない日本兵もいた。オーストラリアが記録した人肉食の本は読んだが、日本兵の記録は読んだことがないのでいつか読む。2020/07/10

小鈴

19
捕虜収容所から山下大将死刑判決まで先読み。325ページのカンルバン捕虜収容所の見取り図は守屋正『比島捕虜病院の記録』と同じ。守屋は捕虜病院勤務だが、久田栄正は第二キャンプ。一般キャンプの食堂の食事は少なくてトラブルが多発。階級の上から下まで話し合い民主主義の萌芽を見る。上のものが決めようとすると「軍国主義」とツッコミがはいる。新憲法は婦人参政権などは予測したが、帰国後に九条を知り、驚いたという。守屋正と比べてはいけないが、一般キャンプの生活が厳しいのか人望がないのかは分からないが面白くない。→2020/08/11

モリータ

14
◆原著は1987年。語り手・久田栄正は1915年生、陸軍主計少尉としてルソン戦を体験した憲法学者(北海道教育大名誉教授)、聞き取り手・水島朝穂は1953年生の憲法・法政策学者(早稲田大教授)。札幌学院大時代に久田と同僚となった水島が、その戦場体験を戦局や部隊行動、旧軍関係者への聞き取りなどをもとに補足しながら記述する。◆入隊する前からも反骨的であり、軍人(将校)として順応することを拒み、激戦地においても経理業務の遂行と非暴力を貫いた久田が、平和憲法の(第13条を根拠とする)支持者となった半生が描かれる。2019/09/19

metaller

6
最近感じる右への傾斜。田母神が若年層から一定の支持を得ている現在の状況。安倍首相の右傾化路線。今こそ戦争体験者の声を真摯に受け止めるべきだと思う。久田はルソン戦で生き残った憲法学者だ。彼は言う。ルソン島で死んだ兵士たちは無駄死にだったと。私のまわりで死んでいった兵隊は、こんな馬鹿な戦争で死ねるかといって死んだ、と。あの戦争を美化することは許されない、と。そして、そういう「無駄死に」させた者たちの責任を追求する、2014/03/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/6856525
  • ご注意事項

最近チェックした商品