岩波現代文庫
世阿弥の言葉―心の糧、創造の糧

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  • サイズ 文庫判/ページ数 210p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006032609
  • NDC分類 773.2
  • Cコード C0136

内容説明

能は六百年前にすでに人気を競う「市場」にさらされ、世阿弥は競争に勝つ戦術書として『風姿花伝』をはじめとする伝書を書いた。「初心忘るべからず」に代表されるその言葉は、能役者が試練を乗り超えるためのものだが、現代人の心にも深く響く。イノベーターだった世阿弥の能のを創造する手法は、ビジネスや人生の局面を打開するヒントに満ちている。

目次

第1章 世阿弥の言葉(「初心忘るべからず」;「命には終わりあり、能には果てあるべからず」;「時節感当」 ほか)
第2章 人生のシステム(「心のままに」―幼年期;「時分の花」―少年期前期;「花失せたり」―少年期後期 ほか)
第3章 世阿弥の創造性(「その名は我と」―「驚き」の発見;「時雨降る旅衣」―旅への誘惑;「みな名所にてぞ候らん、御教へ候へ」―パノラマ手法と名所教え ほか)

著者等紹介

土屋恵一郎[ツチヤケイイチロウ]
1946年生まれ。明治大学法学部卒業。同大学院法学研究科博士課程単位取得満期退学。明治大学法学部教授。専攻は法哲学。芸術選奨選考委員(古典芸能部門)、芸術祭審査委員(演劇部門)を歴任した能楽評論家でもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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シュラフ

22
『風姿花伝』はなんと我々の心をうつのだろうか。人生というのはひとつの舞台で、それを生き抜く我々はみな役者だとすれば、世阿弥の芸術論はすなわち人生論ということになる。「住する所なきを、まず花と知るべし」。変化するということは結果的に成長すること。そして新しい次元へと導くことになるという。我々の人生を振り返ってみれば、この言葉の意味合いというのが心に響いてくる。人事の異動で不遇はかこったものの、それにより自分はたしかに成長したのだ。残りの人生に対しても挑戦の気概というものがふつふつと湧いてくる。2016/05/05

壱萬参仟縁

14
2002年初出に加筆修正された本。「舞に舞われる」とは、四方から沸き立ってくる舞によって舞われる(5頁)。初心は試練の時に、どうやって乗り越えていったのかという戦略や心がまえを忘れないというもの(14頁)。評者も今が正念場。中年にも、老人にも、それなりの初心があるとのこと(18頁)。完成はないのだ。世阿弥は、世界初の演劇論を書き、言葉も理論もなかった(58頁)ので、イノベーターという。社会は成長し、変化する生き物(66頁)。世阿弥は人生を7段階にわけて考えた(90頁)。発達段階に合わせた人生訓に学ぶ意義。2013/11/23

袖崎いたる

6
岩波現代文庫でこんなにライトな本があるって知らなかった。内容は世界史上初の美学書?であり人生論?である風姿花伝へのお節介…いやいやリライト的な風情。興味深いのは前衛芸術がそれを必ずしも受け付けないような市場という観点を、世阿弥理論では是としていることだ。2018/06/26

散歩牛

1
為になる本だった。1回読み終えた後にすぐまた読み直してしまった。自分にとって「世阿弥」といったら「風姿花伝」と「能」って言葉だけは浮かんでくるけど正直全然知識がなかった。この本では、世阿弥の残した言葉を読み解きながら、能とはどういうものか、世阿弥はどういう存在であったか、わかりやすく語られている。能について・古典についての解説書でもあるし、人生論・処世術を説いた自己啓発本でもあるけど、とても読みやすいし印象的な言葉に富んだ本だった。読めて良かった。2015/09/07

レーモン

1
こんなナイスな本が世の中にあったんですね。この本からは特に『目前心後』という言葉が今の自分に大きく欠落している部分だと感じました。こんな考え方があって、生きる上での技術であると思えるところが実用的だなと感じます。そして、それは構造構成主義を適用する上での大きなサポートになるなと思いました♪その他にも含蓄のある言葉が心を揺さぶります。だからこそ何度も読みたいと心から願える本です♪2014/10/05

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