内容説明
米国の中流階級は、過剰に消費しても満足できないばかりか、満たされぬ思いはなお強まる。なぜ浪費が定着してしまったか。本書はその背景に「働きすぎと浪費の悪循環」が存在していることを解明する。浪費を止めるためには、新しいライフスタイルが求められていると喝破する。日本における消費・労働・生活の今後を見極めるうえで必読の一冊である。
目次
第1章 新しい消費主義の出現
第2章 商品によるコミュニケーション―私たちが買うものはいかにして多くを語るのか
第3章 視覚的なライフスタイル―アメリカのステータスシンボル
第4章 消費があなたらしさを創る
第5章 隣のダウンシフター
第6章 ディドロの教訓に学ぶ―欲望の上昇を止める
エピローグ 消費を減らせば経済は難破するか
著者等紹介
ショア,ジュリエット・B.[ショア,ジュリエットB.][Schor,Juliet B.]
1955年米国生まれ。マサチューセッツ大学で賃金変動の研究により、博士号を取得。『働きすぎのアメリカ人』で注目を集める。ハーバード大学准教授を経て、現在ボストン大学社会学教授
森岡孝二[モリオカコウジ]
1944年生まれ。関西大学教授。株主オンブズマン代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ごへいもち
41
大変面白かった。 年収1600万円以上の世帯の27%が必要なものを全て買えることができないと感じている というデータにはびっくり。 また高学歴なほど貯蓄額が減っていく!? それはなぜか。 本書を読むと納得。 収入が上がるに従って生活必需品の枠が拡大していくから。 周囲の人がみんな(?)持っているものを持っていないということはできない。 職場の人たちが次々にあちこち旅行しているような職場にいたら どこにも行かないというのは仲間はずれとまではいかなくても肩身が狭いと感じるかもしれない。(コメントに続く2012/03/12
sk
6
見栄を張って消費するために長時間労働するワークアンドスペンドサイクル。日本とは若干事情が違う。2020/04/07
shizuca
4
ここまで買うの? と驚きました。ステータスシンボルやどこそこの町に住むのが夢とか持っている車のメーカーや車種、服に時計、たしかにあの人がもっているなら私はもう一段階上のものを持ちたい、という欲はでてくる、気もします。が、カードを何枚もつくって借金してまで? とも思ってしまう。アメリカならそれが普通なのかな(それがおかしいよというからこの本ができているわけだけど)。消費するよりも、そのものの質を見極めて長く使えるものを選ぶ能力を上げたいです。安さに酷使されている労働者のこともしっかり意識して物を買いたい。2018/12/26
hirohiro
4
なぜアメリカ人はこれほどのまでに消費主義に染まってしまったのか、そしてこの病気の良薬となるであろう「低消費主義」とはなにか。現代社会が、階層化される消費パターンというブルデューの命題を地で行くさまを、本書前半で示される。消費に伴うアイデンティティの生成は、消費者を襲う悲劇の立役者である。上記分析を踏まえ、「ダウンシフター」の例を引きながら著者は新しいライフスタイルを提示する。「アメリカ」と銘打っているが、日本人にも大いにあてはまる内容であり、訳文も読みやすく調整されているようなので、一般読者にもおすすめ。2014/02/05
hos
2
日本語訳が読みづらいこともありました。。2015/11/03