出版社内容情報
このままだと日本は必ず没落する・・・・・。1990年代末、イギリス在住の著者が2050年の日本の将来に警鐘を鳴らす。日本人の精神性と日本の金融、産業、教育の分野での欠陥をそれぞれ指摘し、唯一の救済案を示す。
内容説明
このままだと日本は必ず没落する…。一九九〇年代末に著された本書は、二〇五〇年を見据えて書かれているが、驚くほど現在の日本がおかれた状況を予見している。なぜそうなるのか。日本人の精神性と日本の金融、産業、教育の構造的欠陥を舌鋒鋭く指摘し、唯一の救済策「東北アジア共同体」構想を示す。
目次
第1章 予想の方法論
第2章 人口の分裂
第3章 精神の荒廃
第4章 金融の荒廃
第5章 産業の荒廃
第6章 教育の荒廃
第7章 ただ一つの救済案
第8章 救済案への障害
付記 社会科学の暗黒分野
著者等紹介
森嶋通夫[モリシマミチオ]
1923年大阪市生まれ。1946年京都大学経済学部卒業。大阪大学教授、エセックス大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)教授を歴任。76年文化勲章受章。2004年7月逝去。大阪大学名誉教授。LSE名誉教授。イギリス学士院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
153
著者の訴えは共感できるところも少なくない。また経済学の限界を踏まえ、将来の予測には教育学こそが大事であるという視点も間違ってはいないのだろう。しかしながら、本書が指摘する未来と現実はずいぶん異なっていた。日本に問題が山積なのは事実だが著者の心配はほぼ杞憂で、それ以上に困った問題が生じている。1999年の著作らしいがそれを差し引いても古いと感じる。著者は共産主義の恐ろしさを小さく見積もりすぎていた。北朝鮮との融和は本書の通りにはいかない。昨今の中国軍事大国化を見ると、北アジア共同体は絵に描いた餅だったろう。2023/09/09
おたま
52
1999年に発行されているが、現在の日本の在り方も、非常に正確に見通している。その研究方法として、経済学、社会学、教育学、歴史学等の学際的研究(しかも個人での)をあげている。また、人口動態や人口構成等巨視的な見方で見ているので、大きく太く見通しを立てることに成功している。戦後日本の経済成長を導いてきたのは、戦中に軍隊に在籍したり学生生徒として軍国主義教育を体現した世代だった。それがパブルの崩壊後に世代は交代しており、様々な社会構成が変わってきているという。⇒2022/03/19
うりぼう
48
正月のお楽しみ、NHK「欲望の資本主義2023」の最後にこの本が紹介され、読んでみた。初の電子ブック。楽天koboでしたが、ページ表示が無くうーん。内容は、少しも経済の話ではなく、筆者の日本を憂う懸命の努力も虚しく、誰も氏の訴えを取り上げないドキュメンタリーのよう。彼には明瞭に浮かぶ未来が、誰にも伝わらない。発行から四半世紀、予測の半分が経過し、事態は悪化の一途。経済は失われた30年、政治は借金だけを膨らませ、教育水準は低下。環境問題、地政学リスク、コロナ禍と問題山積、財政破綻寸前。日本、ゆでガエル状態。2023/01/20
壱萬弐仟縁
48
2050年日本。かなりの教育を受けているが、今後の学校や社会での教育次第。現在の若者を見ればそれがわかるという。2040年の政財界トップも、2030年の社会の土台も推定できる(6頁)。高田保馬は社会の量質的組立の立場からは第三史観と呼んだ。森嶋先生のは人口史観(社会学的史観、8頁)。2050年までイノベーションはあるが、浮上させる力がない(59頁)。これからの日本は不効率是正に伴う失業の時代(93頁)。2015/01/04
Tenouji
39
Audible体験版にて。著者の21世紀半ばの日本の予想は「生活水準は相当に高いが、活動力がなく国際的に重要でない国」と予想されている。ま、半ばが来る前にもうそうなっているのだが…「利害に対して自己中心的、自分の主張がなく常に多数派に組し、拝金主義的で快楽主義的、つまりは下からの資本主義を支えるエートスとしての資格を備えていない」疑似自由主義、疑似個人主義、疑似民主主義的なエートスが根付いてしまった残念な国であると…当たってしまっていますね。2022/08/07