岩波現代文庫
火はわが胸中にあり―忘れられた近衛兵士の叛乱 竹橋事件

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  • サイズ 文庫判/ページ数 377p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006031732
  • NDC分類 916
  • Cコード C0121

内容説明

明治の世が始まって間もなく、徴兵制そのものや悪化する待遇に不満を抱く近衛兵士が天皇への強訴を計画し、叛乱を起こした。しかし、それは事前に露見していたのみならず、五十余名もが処刑、さらには「軍人勅諭」など大日本帝国陸軍の完成へと利用されていく。そこにいったいどのような陰謀があったのか。闇に葬られていた「竹橋事件」を掘り起こした執念のノンフィクション。

目次

埋葬
風のとまった七月
口火
空白の三日間
たじろぎ
近づく足音
革命は可なり
身の上話
血判状
露草
火門封印
皇居へ
王子行軍
苦役の日々
時間への旅

著者等紹介

澤地久枝[サワチヒサエ]
1930年、東京生まれ。ノンフィクション作家。幼少期に家族と「満州」に渡り、敗戦で引き揚げる。49‐63年、中央公論社勤務。その間、早稲田大学第二文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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藤瀬こうたろー

23
西南戦争後の恩賞の不公平さや減給、支給品の節減で不満を募らせた近衛兵士たちの反乱を描いた作品。日本史の教科書だと「竹橋事件」としか簡単に記載されていないが、紐解いてみると53人の処刑者という異様なまでの刑死者があり、当事者も色々な人がいるということがわかった。あえていうなら、登場人物が多すぎて文章が散漫になっているきらいがあるのと、天皇に強訴するまでに至った強い不満というのがいまいちよくわからなかった。「妻たちの2・26事件」と同じ筆者だけに、この作品も何人か抜粋して焦点を絞って描くべきだったかも。2023/02/25

松本直哉

12
国家のためには、隊長の命令といえども服従できないことがあるー後年の日本軍の、上官の命令すなわち天皇の命令とされる絶対服従とは全く違う、正当な理由があれば叛乱も可とする、明治初期の兵士らの自由な発想。徴兵制という理不尽に異議を申し立てる彼らの不満が自然発火のような自発性で暴発した竹橋事件は、事前に察知されて当局の鎮圧にあい、五十余名の銃殺という凄惨な結末に終る。残された断片的な資料(裁いた側の)から百年前の兵士の息づかいを蘇らせる著者の筆によってようやく彼らの無念も晴らされようとしているのかもしれない2016/11/13

Jirgambi

3
陸軍叛乱、と言ってもデカブリストや二・二六事件等の国体変革を目指す叛乱とは性質が異なる竹橋事件。なぜ恩賞遅延の不満による決起だけで55柱の若い命が犠牲となったのか。本書は「平民」としての兵の心情に迫りつつ事実を丹念に追う。竹橋事件は日本史の教科書にすら載らない程知名度は低い。せめて真実が更に解明されなくとも事件そのものを知らしめる必要性は断然ある。どうか竹橋事件を知って欲しい。本書はそう語りかけている。2014/05/25

鼻毛カッター

2
文庫化で削除されたという冒頭の文章が気になる。「拝啓 広瀬喜市さま」という題だったらしいが、表紙写真の広瀬(イケメン)へのラブレターみたいな内容だったのかな。本文中でも事件の中心人物で処刑されたの広瀬や大久保への愛情がにじみ出てるような感じだったけど。2010/06/30

よう

1
わずかな手がかりからわかる事実を積み重ねていく澤地さんの苦労がしのばれる。2010/11/30

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