岩波現代文庫
パレスチナとは何か

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006031176
  • NDC分類 319.28
  • Cコード C0122

出版社内容情報

サイード自らの政治的流氓体験を踏まえ,パレスチナ人の生活と労働,そのアイデンティティーを徹底的に凝視しつつパレスチナ問題の根源を問い直した衝撃の書.執筆後の情勢の変化を超えて,状況の基底へと読者を誘い,アラファト亡き後の現在も多くの示唆を与える.原著は86年刊行.精彩に富む写真も多数収録.



★本書は『書評空間 KINOKUNIYA BOOKLOG』にエントリーされています。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

74
スイス人写真家による写真、パレスチナ人であるサイードの記憶、パレスチナの歴史と現状から編まれた本。語られるのは、世界に分散したパレスチナ人の常に「部外者」である在り方、国を中心を持たない流動性と不安定性。また「今日の世界システム」の中では「私たち」は必ず「テロリスト」であるということ。そう語りながらサイードは今日の世界システム「合衆国/イスラエルの権力という果てしなく破綻のない物語」を揺さぶってゆくのですが、原著出版から約40年を経た今日の状況を鑑みるに、その道の遠さに気の遠くなるような思いがしました。2024/10/22

かふ

24
サイードがスイスの写真家(両親がナチスからの亡命者であった)の写真から外部に曝されるパレスチナ人の物語を思索していく本。それは『オリエンタリズム』を書いたサイードが文化帝国主義(それはイスラエルよりもその裏にいるシオニストのアメリカ)対するパルチザン的な抵抗運動なのかもしれない。パレスチナの写真のよそよそしさと他者に向ける視線の中にサイードの言う中心を持たないノマドとしてのパレスチナの浪漫があるのかもしれない。その現実の過酷さは浪漫よりも批評としてサイードがこのような本を書かざる得ない姿なのだろうか?2024/06/29

みっちゃんondrums

23
イスラエルが建国されたことにより、亡国の民、亡命者、難民となったパレスチナ人。自らはアメリカに亡命した、裕福な教養人である著者が、多様で多重なパレスチナ人のアイデンティティを深く考察する。ユダヤ人に比べて、世界中の同情を集めるホロコーストの経験はない、しかし、個々のパレスチナ人はユダヤ人と同じ経験をしているのだ。ジャン・モアが撮影した写真は、あくまでも“人間”だ。何故、人間は自分が属する国や民族、人種以外の人々に冷たいのか。著者の、誰も責めない、静かな書きぶりに心を揺り動かされた。2017/09/08

まると

21
「オリエンタリズム」のサイードが故郷パレスチナについて語った本。現地写真に言及しながら難民の険しい状況を語っているのだが、難解でリズム感のない文章がつらかった。ホロコーストの被害者という立場を免罪符に、米国の庇護を受けてパレスチナ人の人権を蹂躙し続けるイスラエルと、それを黙認する国際世論という構図は35年後の今も変わっていない。先に休戦となったガザとテルアビブの爆撃の応酬は久しぶりに国際世論を動かしたが、根本的な解決は先送りされたまま。静かに進行するイスラエルの横暴を国際世論は注視し続けなければならない。2021/05/29

ザビ

11
文庫なのに1500円もして初めはエッ?!と思ったが、むしろこの本を読めたのは幸運。「私達の多くが殺され発言権を奪われても何の痕跡も残っていない…パレスチナ人とは主に闘士、テロリスト、始末に困る浮浪者としてのみ目立つ存在」「国家を持たぬ流浪の身には、本質的に型破りで雑種的で断片的な表現こそ然るべき」イスラエル建国以降、土地と主権を奪われ、世界から存在を軽視されてきたパレスチナ人について「語られたことのない何事か」を語る一冊。怒り、失望、疑問、誇り、そして暴力が雑多に渦巻くパレスチナの日常感覚が綴られている。2024/01/21

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