岩波現代文庫
パレスチナとは何か

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006031176
  • NDC分類 319.28
  • Cコード C0122

出版社内容情報

サイード自らの政治的流氓体験を踏まえ,パレスチナ人の生活と労働,そのアイデンティティーを徹底的に凝視しつつパレスチナ問題の根源を問い直した衝撃の書.執筆後の情勢の変化を超えて,状況の基底へと読者を誘い,アラファト亡き後の現在も多くの示唆を与える.原著は86年刊行.精彩に富む写真も多数収録.



★本書は『書評空間 KINOKUNIYA BOOKLOG』にエントリーされています。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みっちゃんondrums

23
イスラエルが建国されたことにより、亡国の民、亡命者、難民となったパレスチナ人。自らはアメリカに亡命した、裕福な教養人である著者が、多様で多重なパレスチナ人のアイデンティティを深く考察する。ユダヤ人に比べて、世界中の同情を集めるホロコーストの経験はない、しかし、個々のパレスチナ人はユダヤ人と同じ経験をしているのだ。ジャン・モアが撮影した写真は、あくまでも“人間”だ。何故、人間は自分が属する国や民族、人種以外の人々に冷たいのか。著者の、誰も責めない、静かな書きぶりに心を揺り動かされた。2017/09/08

まると

20
「オリエンタリズム」のサイードが故郷パレスチナについて語った本。現地写真に言及しながら難民の険しい状況を語っているのだが、難解でリズム感のない文章がつらかった。ホロコーストの被害者という立場を免罪符に、米国の庇護を受けてパレスチナ人の人権を蹂躙し続けるイスラエルと、それを黙認する国際世論という構図は35年後の今も変わっていない。先に休戦となったガザとテルアビブの爆撃の応酬は久しぶりに国際世論を動かしたが、根本的な解決は先送りされたまま。静かに進行するイスラエルの横暴を国際世論は注視し続けなければならない。2021/05/29

ザビ

11
文庫なのに1500円もして初めはエッ?!と思ったが、むしろこの本を読めたのは幸運。「私達の多くが殺され発言権を奪われても何の痕跡も残っていない…パレスチナ人とは主に闘士、テロリスト、始末に困る浮浪者としてのみ目立つ存在」「国家を持たぬ流浪の身には、本質的に型破りで雑種的で断片的な表現こそ然るべき」イスラエル建国以降、土地と主権を奪われ、世界から存在を軽視されてきたパレスチナ人について「語られたことのない何事か」を語る一冊。怒り、失望、疑問、誇り、そして暴力が雑多に渦巻くパレスチナの日常感覚が綴られている。2024/01/21

Mof

5
タイトルの通り、パレスチナとは何かをパレスチナ人である著者が詩的な言い回しで説明している。 ある日突然やって来たユダヤ人は、ホロコーストの歴史のお陰で世界中から善良と見倣されてる。大っぴらにパレスチナ人の土地を搾取し、パレスチナ人の財産を強奪し、パレスチナを残虐しているにも関わらず。恐らくホロコーストで亡くなったユダヤ人の数よりも、虐殺されたパレスチナ人の数の方が多いに違いない。それでも、ガザのミサイルは悪なのか。世間のやるせなさを痛感する。2024/04/11

ymazda1

4
難解なのは、学術的に難しいだとか、翻訳が下手くそだとか、そういうパターンではなく、暗喩的で遠回しな表現が多いから?・・・たぶん、パレスチナ系アメリカ人という著者の立ち位置も影響してるんかな・・・フツーな写真を使ってパレスチナ人のフツーさを繰り返し描くことで、パレスチナ人に上書きされた作為的な虚像が、浮き彫りにされていく感じがする内容・・・当時の当事者たちの「自分たちの土地を追い出されても、自分たちの土地なんだから、すぐに帰れるさ」ってな闇金ウシジマくん的な無知さだとか、いろいろやるせない本だった。。。

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