内容説明
光を曲げた革命児の来日は大正日本に熱狂的な興奮を巻き起こし、その影響は遠く昭和の時代にまで及ぶ。科学界だけでなく文学・思想・宗教各界や知識人たちは、アインシュタイン博士の思想や人格、相対性理論といかに切り結んでいったのか。そして原爆投下の責任をめぐって日本人とアインシュタインはどのようなやりとりをしたのか。日本と人間性豊かな天才物理学者の関係を多彩な資料にもとづき鮮やかに描く。
目次
第2部 日本の文化と思想への衝撃―アインシュタイン・エフェクト(アインシュタインにとっての訪日体験;東北の月沈原とアインシュタイン;二人のアインシュタイン学者;アインシュタインと社会思想家たち;大正文化人の反応と感想;相対性理論のカルチュア・ショック;科学界への衝撃と影響;アインシュタインにおける平和と原爆;なぜアインシュタインか)
著者等紹介
金子務[カネコツトム]
1933年埼玉県生まれ。1957年東京大学教養学科(科学史・科学哲学)卒業。読売新聞記者、中央公論社編集者、大阪府立大学教授(総合情報センター所長)、図書館情報大学教授、帝京平成大学教授、放送大学客員教授をへて、大阪府立大学名誉教授
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感想・レビュー
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いちはじめ
2
1922年訪日したのを契機にアインシュタインがブームとなった。訪日時のあれこれをつづった1巻に続き、日本の思想界に与えた影響(騒動)を辿る。今読むと、相対性理論がなんでこんなに理解されない、変な理解をされてたのか不思議だが、そういうものかもしれないなぁ。2005/04/10
uburoi
1
東北大とア博士とのつながりを調べる必要があったときに買ったので、だいぶ前だ。来校時は相当な盛り上がりだったようで、土井晩翠が長尺の歓迎詩をささげたほどだ。訪日そのものが日本中を大歓迎ムードにしたのだった。ア博士と日本の関係をかなり詳細に調べ尽くしまとめあげた労作だ。宮澤賢治の「春と修羅」が相対性理論に影響されたかどうかの考察にまで及んでいる。個人的には上記の理由によって下巻しかもっていないのだが、ラストで原爆とア博士の関わりを突っ込んでいくところはなかなかの迫力だった。2016/12/25
i-miya
0
中国人が外国人にやられている状況を2日間、上海で見た、朝、起き上がろうとしたとき、正17角形の作図を思いつく、田辺元ー西田幾多郎、石原純、小倉金之助、弟、田辺至(藤田嗣治と同期の裸体画家、後東京藝術大学教授)西田との厳しい論争2006/08/04