内容説明
命に逆らいて君を利する―住友商事の常務だった鈴木朗夫は抜群の企画力、折衝力、語学力と自己の美学をもち、屈従と非合理が支配する陰湿な日本的企業社会に対する果敢な挑戦者であった。ジャン・コクトーに心酔し、自分をムッシュウと呼ばせたこの気障な教養人の誇り高き生と死のドラマを描く佐高人物評伝の代表作。
目次
帰らざる人
男の美学
ジャン・コクトー
母と叔母と
自称スペイン特使
ビジネス・レターの風格
タフ・ネゴシエーター
卓越した「現代世界論」
Don’t disturb
管理に刃向かう
住友個性派の系譜
いやしくも浮利にはしらず
「外国人は任せて下さい」
恋文
“愛児”ケニイへ
現代“社畜”批判
若き日の日記
著者等紹介
佐高信[サタカマコト]
1945年山形県酒田市生まれ。慶応義塾大学法学部卒業後、高校教師、経済誌編集長を経て、1982年に評論家として独立
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感想・レビュー
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ファラオのアゴ
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正に今の社畜問題を当時から指摘していた鈴木さんと仕事人間だけど懐の深い伊藤さん。 特にあとがきの城山・伊藤の対談が良かった。人格が商売をつくる。2016/11/10
タイガー99
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現在とは時代背景が少し違ってきているけど、信念とか志とかは色褪せない。しかも、今よりも日本が窮屈だったはずだし。もう少し実際の仕事についても読んでみたかったけど、やはりそこは難しいかな。2016/01/29
ぱにーに
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教養を体現した商社マン・ムッシュウ鈴木。その極端な生き様は実に魅力的であり、一つのモデルとなる。カルチュアされていた人物。洗練された英語力。住友の事業精神を表す戦前のエピソードも面白かった。足尾銅山の現状に抗議した田中正造は住友の銅山を手本とするよう述べた。国際化についての鈴木の数々の論も面白い。一民間人でもスケールの大きいことを考えて良いのだと救いになった。特に、何でもかんでも大転換だと捉えるのは歴史観の不足だという意見には強く賛成する。2024/10/04
仁井智也
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サラリーマン時代に読了 優秀であること前提のお話だなあと