出版社内容情報
人間が何を食べ,何を食べないかはどうして決まるのだろうか.人類学・経済学・医学・生物学・栄養学などの膨大な知見と楽しいエピソードを満載.最善化採餌理論によって食と文化の謎を解く,異端の人類学者の文化論.
内容説明
インドでは牛を食べない。イスラム教徒は豚を避ける。ダイエット国アメリカでも低カロリーの馬肉は食べない。人間が何を食べ、何を食べないかどうして決まるのだろうか。人類学・経済学・医学・生物学・栄養学などの膨大な知見と楽しいエピソードを満載。最善化採餌理論によって食と文化の謎を解く、異端の人類学者の文化論。
目次
プロローグ 食べ物の謎
第1章 肉が欲しい
第2章 牛は神様
第3章 おぞましき豚
第4章 馬は乗るものか、食べるものか
第5章 牛肉出世物語
第6章 ミルク・ゴクゴク派と飲むとゴロゴロ派
第7章 昆虫栄養学
第8章 ペットに食欲を感じるとき
第9章 人肉食の原価計算
エピローグ 最後の謎
著者等紹介
ハリス,マーヴィン[ハリス,マーヴィン][Harris,Marvin]
1927年ニューヨーク生まれ。文化人類学者。コロンビア大学、フロリダ大学で教鞭をとる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
32
世界の食文化は謎だらけだが、費用と便益という点では合理的で、より高い金利で資産を運用するのと同じ。インドで牛が崇められ、中東で豚が呪われるのもこの理論で説明できるし、宗教公認の食習慣は、宗教自身を強化した。西洋人の体質は、一万年前の反すう動物の家畜化という超長期の生活習慣が影響している。短期的な変化の例としては、1950年代アメリカでの豚食から牛食への転換がある。馬や犬を食用にしないのは、愛情の問題より、肉の供給源としての効率性という勘定の問題。昆虫、ペット、カリバニズムにも地域と時代限定の合理性がある。2014/05/09
しゅわっち
14
著者の主張に圧倒される。色々調べる姿は、真似ができない。自分の考えを明確するためにもいろいろ調べたのだろう。題材は、地域により動物タンパク質を取る違いが発生した。コストと効果で説明し、宗教がそれを強化してるように思える。読んで思ったことは、人類を含め動物全てが、穀物類を主体の炭水化物を過去食べてきていない。美味しいと思うものは、過去食べてないものが多いように思う。このことから、健康には、美味しいものと一致しないように感じる。また、タンパク質の比率の高い昆虫が、見直される時期が来るようにも感じた。2019/04/28
かんやん
9
牛を神聖視して食べないヒンズー教徒、逆に豚を不浄なものとして食べないユダヤ教徒とイスラム教徒。その理由を宗教や迷信に帰すことなく、不合理な選択ともせず、コスト/ベネフィットと環境から解き明かしゆく。痛快この上ないが、学者から評判が悪いという。著者が文化唯物論と呼ぶ方法は恐らく人の感情を逆撫でするところがある。人は文化や宗教の教義にどこか不合理なところや神秘を求めているからだろう。牛豚の次は馬→昆虫→ペット(犬)、そして最後に当然のように人がくる。鯨についても、分析して欲しかった。2016/06/26
壱萬参仟縁
8
1985年初出。食事だけが糖尿病の原因とは限らない(42-43頁)。やはり、ストレスがいけないのだろう。運動不足とか。昨日本屋で『きょうの健康』をみると、ドミノの如く、一つ病を抱えると全滅=死と知り、ドミノ病の恐怖を思う。ポリネシア人は犬を太らせて食用している(254-5頁)。アメリカ人はペットを無用性と信じる(268頁)。所変われば文化も違う。それにしても、違いは際立つ。2013/05/15
かなた
7
イスラム教において豚は不浄の動物とされ、食べることを禁止されている。これは豚を育てるための餌が人間の食料と重なっているため、砂漠気候に多いイスラム教圏では豚を育てる余裕がないことを理由としていると考えられる。また豚は牛のように乳製品が取れるわけでもなく、羊のように羊毛が取れるわけでもない。豚は肉として食べるその一点において優れた家畜なのである。2024/06/16
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