岩波現代文庫<br> 昭和恐慌―日本ファシズム前夜

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岩波現代文庫
昭和恐慌―日本ファシズム前夜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 334p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006030407
  • NDC分類 332.107
  • Cコード C0121

出版社内容情報

世界大恐慌下,1930年の金解禁で日本は未曾有の経済危機に陥った.井上準之助,高橋是清の経済施策をめぐる左右の論客たちの言説を軸に,ファシズムへの転落過程を詳細に追究した本書は閉塞する現在への示唆に富む.

内容説明

世界恐慌下、一九三〇年の金解禁=金本位制への復帰によって日本は未曾有の経済危機に陥った。時の蔵相井上準之助や高橋是清の財政金融思想と、経済政策の選択をめぐる左右のイデオロギーの相剋を描き、日本がやがてファシズムへと転落しゆく過程を詳細に追究した本書は、出口なき不況の現在を考えるための示唆に富む。

目次

昭和危機の心情―テロリスト小沼の内面
問題としての金解禁
第一次大戦後の再建金本位制の矛盾
金解禁断行
井上準之助の経済思想
金解禁はなぜ強行されたか―その国際的背景
政友会の積極政策―三土忠造の考え方を中心に
恐慌の深化と金解禁の挫折
恐慌下のマルクス主義とケインズ主義
ファシズム―見すてられた小ブルジョアの激発〔ほか〕

著者等紹介

長幸男[チョウユキオ]
1924年東京に生まれる。48年東京大学経済学部卒業。東京外国語大学名誉教授、元学長。専攻、日本経済思想史、金融論
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

めっかち

2
 部分読み。なんか全体として言葉遣いが古臭い左翼、マルキストっぽい……とか思ったが、五〇年前の本か。じゃ仕方ない、のかな? それなりに興味深い記述もあるが、別にこの本でなくもっと良い研究もあるのではとか思ってしまう。確か、元日銀副総裁で経済学者の岩田規久男さんが昭和恐慌に関して書いてたよね。いずれ読みたい。2023/12/17

しゅー

2
★★「同時代ライブラリー」で読んだ。「英米協調」を唱える人達の手により誤った経済政策が選択され、英米との戦争への道筋が作られるのは歴史的な皮肉である。旧平価での金解禁は貨幣に関する政策だけで諸々の政治課題を片付けようとしたものだと言う指摘には、最近の金融政策を万能視する国際的な風潮を連想した。そもそも為替レートのために緊縮政策で国内経済に大打撃を与えて国民の思想が過激化すると言うパターンは、教訓を活かさないまま、その後も繰り返される。最悪の状態から経済を建て直しつつ軍部と戦い続けた高橋是清には頭が下がる。2020/05/05

okadaisuk8

1
金本位制復帰へのこだわりとその挫折により政党政治が崩れ、台頭するファシズム勢力をあえて抱き込みコントロールしようとするが、結局取り込まれて軍事費のための放漫財政に移行していく過程を描く。1929年の時点では米株式市場の大暴落は一過性とみられており、金本位制がふさわしいという考えは国際的に一定程度一般的な考えであったことなど勉強になる。2001年に書かれた、明治時代のような構造改革や持続的経済への転換の必要性を説く筆者の後書きは今こそふさわしい。というか20年ほとんどそちらに進むことができなかった…2022/10/13

sakesage

1
やはり、経済書の難解さがあるものの、金解禁を実行した立役者、井上準之助の人と思想、高橋是清のファシズムを警戒しての経済政策など読み方によっては非常に彼らを肯定的に描いた書と言えると思う。同時に当時の資本主義危機論を唱える陣営が恐慌をいち早く指摘していたものだが、そのドグマチズム故に硬直化するマルクス主義経済学にも光を当てる。次は湛山読んでみよう。2013/02/04

星規夫

0
昭和恐慌と日本のファシズム移行との関連を論じた本。経済学の知識が無いため詳しい部分はわからないが、読んでいて非常に恐ろしい気分になってくる。1世紀近く昔のことが、まるで今日のことのように書かれているように思われてくる。2015/08/20

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