出版社内容情報
両親の遺品にあった若き日のラブレター。そこには息子として知る母ではなく、のびやかに想いを綴るひとりの女性がいた。大正十年、ピアノを学ぶ多喜子は、やがて高名な哲学者となる京大生の徹三と出会う。朝な夕なに手紙を交わし、気持ちを確かめあうふたり。そして、時を経ての愛の行方。珠玉の往復書簡集。寄稿・内田也哉子。
感想・レビュー
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trazom
99
恋人時代の二人の間で交わされた537通の往復書簡。手紙の中でも哲学する若き徹三氏の姿や、音楽や絵画の話題など大正教養主義の時代の雰囲気が伝わってくる。「うれしゅうございました」などの日本語も美しい。本書の最後に「三十年後の手紙」として多喜子さん57歳の時の手紙。愛人に心が移った夫に対し、それでも夫の愛を強く求める赤裸々な思い。なぜこの一通が掲載されているのか…。両親の死後に残された二人の手紙は家族の宝物のはず。だから、そんな大切なものをこうして公開する息子(谷川俊太郎さん)の気持ちが、私には理解できない。2025/09/23
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