出版社内容情報
ドストエフスキー文学の翻訳・研究者として名高い著者の自伝的エッセイ。少年時代に初めて『罪と罰』を読んだ時の衝撃から学生時代の文学サークル体験、ロシア留学時のスパイ容疑事件、プーシキン・メダル授賞式など、自らの人生のエピソードにドストエフスキーの作品世界が重ねあわされながら語られる。(解説=野崎歓)
内容説明
ドストエフスキー文学の翻訳・研究者として名高い著者の自伝的エッセイ。少年時代に初めて『罪と罰』を読んだ時の衝撃から学生時代のドストエフスキー体験、ソ連留学時のスパイ容疑事件、プーシキン・メダル授章式など、自らの人生のエピソードと葛藤にドストエフスキーの作品世界を重ね合わせつつ語る。
目次
1 「父殺し」の起源
2 激動の青春
3 『罪と罰』体験
4 甦る『悪霊』
5 ウリヤノフスク事件
6 カタストロフィ
7 ロシアの幻影
8 ヨーロッパの幻影
9 ひそやかな部分
10 新たな旅立ち
著者等紹介
亀山郁夫[カメヤマイクオ]
1949年栃木県生まれ。東京外国語大学外国語学部ロシヤ語学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京外国語大学名誉教授、名古屋外国語大学学長、世田谷文学館館長。日本芸術院会員。専門はロシア文学・ロシア文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sam
50
衝撃的に面白かった「謎解き『罪と罰』」の著者の本と勘違いして購入してしまった。途中で気付いたがせっかくなので読了。著者によれば「人間のだれもが、すべての人、すべてのものに対して罪がある」いう世界観がドストエフスキーの作品の根幹を成すという。そしてこの世界観に惹かれた著者がドストエフスキーに関する学会やら史跡巡りやらで世界中を駆け巡り、行く先々でさまざまな出来事や発見に出会うさまを描く。まるで妄念に憑かれたような人で、ドストエフスキーの研究者ともなればこうでなきゃいけないんだろうかなどと妙に感心もした。2021/11/20
しおり
8
翻訳者、しかもドストエフスキーの翻訳をしている人はいったいどんな人だろうかと今まで想像していて、今回少しだけ霧が晴れた。本に没入する力というか、現実の体験と本のそれを融合させる力がずば抜けている。本の表紙にあるように、本を絨毯に世界を駆けまわれるのだろうなと思った。部屋にこもるイメージがあったけど、移動に次ぐ移動。エネルギッシュだった。年を経ても変わらない情熱に脱帽した2022/03/31
aoi
6
めちゃくちゃ面白かったぁぁぁァァァァ!!!!! 光文社古典新訳文庫で亀山さん訳のドストエフスキーの本を読んでからご本人の本を読んでみたくて手にとった。 感傷的で憐憫癖のある著者がドストエフスキーやドストエフスキーの作品と引っ付いたり離れたりしたがら時間や土地を行き来する。時間旅行のような、現実と文学作品の世界を行き交うような感覚に気持ち良さを覚えた。 もっと亀山さんの本を読みたーーい。2022/01/02
amanon
4
数頁程のごく短いエッセイを集めたものだが、殆どそのどれもに、ドラマというべき、熱い展開が綴られていて、ぐいぐい引き込まれ、一気読み。とりわけ惹きつけられたのが、著者自ら文学少年と呼んだ、『罪と罰』の読書体験から大学時代までの読書遍歴。とにかくその早熟な読書歴に深い憧憬と嫉妬を覚えてしまう。それともちろん忘れていけないのは、タイトルにもある著者の旅行記。恐らく、今後足を踏み入れることのない、ロシアを中心とするドストエフスキーゆかりの地の描写に、少なからず興奮を覚える。また巻末で触れられるコロナ禍が重たい。2024/01/26
ソフィ
1
ザ・求道者の世界だった。それにしてもドストエフスキー関連の会議やイベントってこんなにたくさん行なわれているのだなあ。2022/01/09