出版社内容情報
長年にわたる鬱病がもたらした煩悶、終わりのみえないスランプ、不倫相手との訴訟沙汰、家庭崩壊、自殺未遂、そして違法薬物使用による逮捕……。一瞬の暗転--死の淵より舞い戻り、火宅の人たる自身の半生を小説的真実として描き切った渾身の作。懊悩の果てに光り輝く魂の遍歴。
内容説明
長年にわたる鬱病がもたらした煩悶、終わりのみえないスランプ、不倫相手との訴訟沙汰、家庭崩壊、自殺未遂、そして違法薬物使用による逮捕…。一瞬の暗転―死の淵より舞い戻り、火宅の人たる自身の半生を小説的真実として描き切った渾身の作。懊悩の果てに光り輝く、魂の遍歴。
著者等紹介
原田宗典[ハラダムネノリ]
1959年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1984年に「おまえと暮らせない」ですばる文学賞佳作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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キク
58
20年くらい前はすごく売れていた原田宗典の本を久しぶりに見かけて、手にとってみた。タイトルのメメント・モリはラテン語で「死を想え」という意味。らしくないタイトルに「どうしたんだろう?」と裏表紙の紹介文を読むと、鬱病による長期スランプ、不倫相手との訴訟、家庭崩壊、自殺未遂、違法薬物使用での逮捕となかなかに壮絶な日々を過ごしていたらしい。薬物トリップや逮捕、精神病院への入院、アフガン内戦と重い内容が書かれているけれど、あの軽やかな文体はそのままだった。辛い時にこそ笑おうとしてるのは、僕の知ってる原田宗典だった2021/11/06
Kanonlicht
44
かつては本屋にずらっと著作が並ぶほどの売れっ子作家だった著者が、うつ病や薬物がらみの逮捕を経て、再起をはかるために書いた自伝的作品。とりとめのない記憶を思いつくままに書いているけれど、タイトルの通り常に死の影が根底にあって、だからこそラストの赤ちゃんとのシーンは、著者の生きようとする意志を感じてぐっときた。「スバラ式世界」など著者のエッセイが好きだったので、純粋に応援したい。2025/01/16
駄目男
19
「メメント・モリ」とは死を想えという意味らしい。この作家は初読みだが、古書市で岩波現代文庫の作品というだけで買ってしまった。章立てがなく、一行開けたら次の話に移行していくという展開で、クスリ、逮捕、傭兵、うつ病と何の脈絡もなく、体験談を語っていくエッセー。他の人の書評など読むに、比較的みな好意的だが、どうも私には何がいいのか良く解らなかった。常にそういう意識を持ちながら読み終えた。然しこの人、原田マハの兄なんだて。知らなかったし、高校時代に志賀直哉を愛読して、友人からは「白バカ派」と揶揄されていたとか。2021/09/28
メリンダ
10
私は10代後半の若い頃に原田宗典の小説やエッセイをたくさん読んだ。2000年ころには大学に講演に来てくれて、サインをもらった。背が高くて、体格ががっしりしていて、作品がおもしろいだけではなく、魅力的な人だと思った。 しかし、その後はパタリと作品の発表もなくなり、妹さんばかりが有名になっていき、どうしているのかと気になっていた。 まさか、その間にこんなに大変なことになっているとは思わなかった。今回、筆が進むママに書いたとあったけど、自分の知らないことばかりで夢中で読んだ。これからの作品も注目したい。2023/05/06
タンスはうまく担げない
8
とりとめのなさがそのまま作品として成立している。パートごとに色や光が明滅する映像を見ているような心地よさ。2023/08/15