出版社内容情報
貧乏に徹しわがままに生きた一〇〇年前のアナキスト、伊藤野枝の生涯を、体当たりで描いた爆裂評伝。
内容説明
女性を縛る結婚制度や社会道徳と対決し、貧乏に徹しわがままに生きたアナキスト、伊藤野枝。パートナーの大杉栄や甥とともに国家に惨殺されるまでの二八年の生涯に、ほとばしる情熱、躍動する文体で迫る。「あなたは一国の為政者でも私よりは弱い」。一〇〇年前を疾走した野枝が、現代の閉塞を打ち破る!
目次
第1章 貧乏に徹し、わがままに生きろ(お父さんは、はたらきません;わたしは読書が好きだ ほか)
第2章 夜逃げの哲学(西洋乞食、あらわれる;わたし、海賊になる ほか)
第3章 ひとのセックスを笑うな(青鞜社の庭にウンコをばら撒く;レッド・エマ ほか)
第4章 ひとつになっても、ひとつになれないよ(マツタケをください;すごい、すごい、オレすごい ほか)
第5章 無政府は事実だ(野枝、大暴れ;どうせ希望がないならば、なんでも好き勝手にやってやる ほか)
著者等紹介
栗原康[クリハラヤスシ]
1979年埼玉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程満期退学。東北芸術工科大学非常勤講師。専門はアナキズム研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
153
あまりにも本作の持つパワーが凄まじすぎて、受け入れるのにこちらの体力不足でなかなか読み進めれませんでした。とにかく「伊藤野枝」がスゴすぎます。こんな女性、もう二度と現れないんじゃないかなって。もう自分の思うがままに言うは、行動するわでそのバイタリティーは尋常ではありません。若くして亡くなった彼女ですが、もし生きていたら果たしてどんな活動を続け、ある意味どんな革命を起こしたのか、とても気になります。世の女性達に何らかの機会で手にとってほしい一冊です。男性も本作を読み、改めて女性への認識を見直すべきですね。2021/07/04
佐島楓
79
男性に隷属する女性という構図に、風穴を開けようと体当たりした伊藤野枝。この構図は百年前と現在でも根本的に変わっていないと察し、絶望的な気分になった。単なる「華」や「欲望の対象としての消費物」ではなく、「ひとりの人間」としてバイアスなく見られるにはどうすればよいのか。という次元の問いを立てなければならないことにも、また絶望する。2020/02/06
はっせー
73
薬にも毒にもなるほんを読みたい人におすすめしたいものになっている!いやースゴい力を持った本である。この本を例えるなら「パクチー」である。要するに好き嫌いがわかれる本になっている。私自身はこの本は好きな部類である!断っておくがこの本はアナーキストになろうって本ではない。伊藤野枝さんの人生や考え方を知ることによって「いま」を考える機会をもらっているがする。破天荒さが目に行ってしまうが恋愛論などはおもしろくてなるほど!って何度も思うほどである。あっという間に読める人もいるのでぜひ読んで欲しい本になっている!2023/06/11
ω
50
「野枝、最高。ああ、人間やめたい、ミシンになりたい。非国民、上等。」 このライターの方のセンス×野枝のパワフル無敵さで、クッソおもろい本になってるω 何で国家のために子どもを作らなくてはいけないのか、なんで税収のためにセックスをしなければならないのか。人間は納税動物ではない。 チクショウ、チクショウ!チックショーー!!2021/12/08
りつこ
40
わざとなのかな。軽すぎる文体がやや鼻につく。でもこの文体だから読みきれたともいえる。結婚制度や社会道徳と戦い続けた伊藤野枝。社会主義者大杉栄と出会ってそれまで一緒に暮らしていた夫を捨て出奔。子どもをもうけるが結婚制度にはあくまでも反対。家庭でも仕事でも誰かの奴隷になるのはやめろ。腐った社会に怒りの火の玉をぶつけろ、とその主張は単純明快だ。そうは言ってもねぇ…と思ってしまう私は彼女らに言わせれば奴隷根性に冒されているのかも。結局その結果が今なのだから彼らの言ってたことは間違ってなかったのか。2020/02/13