内容説明
理不尽な人生にもがき続けた作家が、書き継いできた多くの作品から自ら選んだ、珠玉の短編集。ともすれば、不器用にも思われる生き様ゆえの、その優しい視線―
著者等紹介
高橋三千綱[タカハシミチツナ]
1948年1月5日、作家、高野三郎の長男として生まれる。高校卒業後、サンフランシスコ州立大学入学。帰国後、『シスコで語ろう』を自費出版。早稲田大学へ入学するが中退し、東京スポーツ新聞社入社。1974年『退屈しのぎ』で第一七回群像新人文学賞、78年『九月の空』で第七九回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばななな
7
心がキリキリとよじられるような、「雷魚」「木刀」。 そこからどうやって外の世界に超えられるのか、わからない少年たちの純粋なのにどろどろした汗のような心が、痛いくらいに伝わってきた。2019/08/26
彩嘉
4
先生がコピーしてくれた短編、パリの君へ読了。 大切に大切に読むタイミングを待っていた短編。 その気持ちの様に大切な大切な思い出の話。 短い短編だけど、胸が熱くなり心が泣いて、 今読めたことも凄く良かった。 切ない。 優しい。 辛い。 どうしてこんな風に生きれるのだろう。 離れたくない人と離れることを受け入れて。 色んなことを諦めてきたからかな。 私にとっても大切な短編になった。 先生ありがとう。2022/05/05
田中峰和
4
1部の短編3作品は著者の少年時代が題材になっている。売れない作家の父は病弱で生活は母の内職にかかっている。暴力的な父の顔色を見ながら過ごす少年時代の記憶は暗い。他人の家の風呂を借りに行き、プロレス中継を質屋で見せてもらうなど、恥ずかしい思い出ばかりだ。対して母への敬慕は残り、その後の作品の端々に現れる。小柄で目立たない野球選手を描いた「セカンド」もその一つ。早くに父を亡くした幸夫は、甲子園でも活躍するが、貧しい母を助けるため大学進学も困難。果たして猫の誘拐場面は必要だったのか。ドラフト指名が浮いてしまう。2019/07/11
クリフトン
0
いま起きていることと以前の忘れられないこととの繋がりみたいなことが書かれている でもそのように読者が読むように書かれているふうでもあり 必ずしもそうではないとも読める それにしても「妹の感情」は某作家を連想させる 余計なことはいえ少しは事実なのか創作なのか悩ましい 検索してみると著者に妹さんはおられないようだし…2021/08/31