内容説明
やあ。よかったら、ここにおいでよ。気に入ったら、ここが君の席だよ―『君たちはどう生きるか』の主人公にちなんで「コペル」と呼ばれる十四歳の僕。ある朝、染織家の叔父ノボちゃんがやって来て、学校に行くのをやめた親友ユージンに会いに行くことに…。そこから始まる、かけがえのない一日の物語。
著者等紹介
梨木香歩[ナシキカホ]
1959年生まれ。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
119
「君たちはどう生きるか」の主人公と同じ「コペル」と呼ばれる14才の少年が主人公。叔父のノボちゃんと染色材を採りに、登校していない友人ユージンに会いに行く。そこでの発見、回想、会話、出来事がコペルを成長させていく。徴兵制、教育、集団心理、ボーイスカウト、土壌動物と様々なテーマも好奇心をそそられ、会話や回想での哲学チックな言葉や考えも楽しめた。2021/06/11
紫綺
108
単行本にて読了。よかったら、ここにおいでよ。ここが君の居場所だよ。2017/01/15
ベイマックス
90
年末から読み始め年越し、本年最初に読み終えた作品が年間ベストになりそうです。何冊か読んだことのある作家さんですが、これはこれという特別感。小手鞠るいさんの「ある晴れた夏の朝」読後に感じた気持ちと似ている。二冊とも人生のベスト作品。ちゃんと自分で考えないとなって考えさせられます。この本でいえば、35ページの「どっきりカメラ」などに対する考察。134ページの「人は人を実験してはいけない」。203ページからの22章のニワトリの記述などなどなど。こういう本と出会えるから読書は素敵なんだ。2025/01/04
aoringo
90
説教くさそうなタイトル(スミマセン)で迷ったけど手に取ってみた。鬱蒼とした森の中にある家に一人で住む少年。不登校をしている彼と久しぶりに一緒に過ごす主人公たち。やがて彼が学校に行かなくなった理由を知り打ちのめされる。自然の持つ力強さ、緑の青さが胸を打つ。そんな中で、火を囲みみんなで語らう。まず傷ついている時は自分は今傷ついているってことを相手に伝えなくちゃだめ。そして何も考えず何となく大勢の側についていることの恐ろしさ。確かにメッセージ性のある作品だったけど説教くさくはなかったです。面白かった!2022/09/25
ハタ
77
ある日学校に来なくなった友人のもとを訪れる主人公コペル君。その何気なくも変えられない一日の経験の物語。吉野源三郎著「君達はどう生きるか」と似たタイトルであるところから即購入。集団心理に染まる危うさ、「普通」という言葉の認識、そして恐らく物語の主題である、戦時下の日本人の思想と本書では問題提起が繋がっていく。普段考える事を止めている腹の底から湧き上がるドス黒い感覚の正体を思春期の少年少女達のナチュラルな視点で多角的に捉えていく手法はお見事。メッセージ性の強い作品であり名著であると思いました。2016/05/21
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