出版社内容情報
『人生劇場』で一世を風靡した尾崎士郎が,母校と大隈重信への熱い思いを描いた小説.近代日本の政党政治への道を切り拓いた大隈重信と,大隈の開設した東京専門学校の明治の創立時の苦闘,大正デモクラシーの時代を迎えた学園をめぐる錯綜した騒乱,つねに情熱の逆巻く渦中で行動した学生・青年の群像を描いた青春譜.(解説=南丘喜八郎)
内容説明
『人生劇場』の作家尾崎士郎が、母校と、そして青春への熱き思いを込めた小説三篇。野に下り学の独立に賭けた大隈重信。学園創立時の苦闘と、不撓不屈の挑戦。進取の精神を抱き果敢に行動する若者たち。時代の奔流の中で躍動する青年群像が、活写される。巻末に、建学の祖・小野梓による開校式での歴史的演説を収載。
著者等紹介
尾崎士郎[オザキシロウ]
1898‐1964年。小説家。愛知県幡豆郡(現西尾市)生まれ。早稲田大学政治科中退、大逆事件真相解明のため売文社に拠る。高畠素之を追って国家社会主義に身を投じる。1921年に「獄中より」で、小説家として独立する。1933年から「都新聞」に早大生青成瓢吉の人生遍歴を描いた『人生劇場』を連載、大ベストセラーとなり、代表作の長編小説になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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my
2
卒業の時が近づき、改めて母校について振り返ってみました。まだ国の管理下に置かれていなかった旧早稲田大学のときの学生の血気溢れる破天荒ぶりがありありと描かれています。学生たちの若い内なるエネルギーの爆発がかつてここで起きていたのだと思うと、感慨深いです。今の早稲田の学生は大人しくなったとよく言われますが、確かになんの権力にも屈せず自らを主張する強靭な精神が今の早稲田にあるかは甚だ疑問です。時代の流れに合わせて形態は変えなければならないのは分かりますが、なんだか没個性化してしまっているような気がしました。2016/01/05
安瀬内喬
2
東京専門学校時代の熱気を感じるが、青春というと何か違う。相容れない何かがある。2015/02/20
ひかぷら
1
早稲田大学開校期における大隈重信侯やその周辺人物を描いた群像劇.面白かったが早大生じゃないと楽しめないかも.2016/12/30
かわくん
0
小説「人生劇場」でも取り上げられた早稲田騒動などを内容とした話などを盛り込んでいる。この本の中では小野梓の開校時の演説が収録されているが、今となっては難解な言葉を用いながらも新しい時代の青年を育てる意欲と気概が感じられる。早稲田は良くも悪くも騒動の場であり、騒動が好きな人間が集まる大学。今の学生もそうなのだろうか。それが無ければ寂しい。2015/04/20
なつけんとし
0
小職が早稲田大学卒であるのと、新聞で取り上げられていたので読んでみた。図書館で借りたら、昭和28年発刊の旧仮名遣いの、ページが茶色に変色した本を苦労しながら読了。今は民衆が政治にあまり関心を持たない時代になっているが、本著の頃の、学内政治、日本の政治について若者たちが必死に議論し、活動しているこの時代の熱さが伝わって来る。2020/07/28