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岩波現代文庫
「菅原伝授手習鑑」精読―歌舞伎と天皇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 260p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006021993
  • NDC分類 912.4
  • Cコード C0174

出版社内容情報

日本人の精神構造を強く規定する天皇.本書は歌舞伎の名作「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」を題材に,作品に描かれた天皇像から日本人の心性を探る.実のわが子を主君の若君の身替わりに供するという異常性,天神伝説,牛飼舎人などの設定の意味を多方面から読み解き,天皇と歌舞伎という聖俗の対極をつなぐものを明示する.岩波現代文庫オリジナル版

内容説明

日本人の精神構造を強く規定する天皇。本書は歌舞伎三大名作の一つ「菅原伝授手習鑑」を題材に、作品に描かれた天皇像から日本人の心性を探る。実のわが子を主君の若君の身替りに供するという異様さ、菅原道真と天神伝説、八瀬童子をモデルとした松王丸ら牛飼舎人など、舞台設定の意味を多方面から読み解き、天皇と歌舞伎という聖俗の両極をつなぐものを明示する。

目次

序章 百二十年ぶりの「天覧劇」
初段 夢に夢をや結ぶらん―発端としての「加茂堤」
2段目 道明らけき寺の名も―古層としての「道明寺」
3段目 下々の下々たる牛飼舎人―「車引」と「賀の祝」
4段目 菅秀才の亡骸を御供申す―「天拝山」と「寺子屋」
5段目 北野の千本松、栄へ栄る御社は―「大内山天変」
段外 「寺子屋」変容―「桜姫東文章」と「松王屋敷」

著者等紹介

犬丸治[イヌマルオサム]
1959年東京に生まれる。82年慶応義塾大学経済学部卒業。演劇評論家。歌舞伎学会運営委員。『テアトロ』『歌舞伎 研究と批評』『読売新聞』に歌舞伎評を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Tom

4
今年3月に文楽「寺子屋の段」を観て、現代の倫理観からするとかなりクレイジーな展開に度肝を抜かれた。土師氏と菅原家の血縁関係という歴史的事実を下敷きに、それによる確執が物語構造に関わってくることなどわかって興味深い。三人の舎人が八瀬童子という考察も。天皇の無謬性という思想が根底にあり、戦中は国民精神昂揚の劇としてナショナリズム醸成に一役買った。本書を読んでも納得できない箇所は多々あるのだが、そういう理不尽で消化できないものが残っているほうが面白いのかもしれない。2023/05/22

shellgai

2
歌舞伎では出てこない部分も、文楽の通しで観たのを思い出しながら、興味深く読みました。天皇論に関する部分はちょっとどうかなと思うところもあり。2015/09/22

yumime

0
初代吉右衛門と六代目菊五郎の舞台写真を起点に江戸期からおそらく戦前までは人々の間に浸潤していたかもしれない八瀬童子のイメージを汲み上げる。歌舞伎や義太夫のテクストにおける天皇観だの古代史と公家へのイメージだのは菅原伝授だけに留まらず今後の拡張を期待できる見方だと思う。2017/12/06

クリイロエビチャ

0
サブタイトルに「歌舞伎と天皇」とついているが、文楽もある程度知っていた方が楽しい本。なんとなく歌舞伎サゲ文楽アゲな論調なので。三つ子の長男は梅王丸なのだが、松王役者の格を尊重するため、歌舞伎では松王を長男設定にしていること、人格者で描かれる道真が憤怒の形相を見せる場面があること、荒ぶる神として桜丸夫婦の霊?を使役し時平らをやっつける段があること。知らなかったので興味深かった。肝心の天皇の話は、天皇は無謬の存在でありその流れが第二次世界大戦の敗戦処理に続いている、みたいな話。天皇絡めない論が読みたいなぁ。2012/11/06

みつひめ

0
三つ子が八瀬童子かどうか、というのはおいといて。通しで見る機会はめったにない「菅原伝授」だけに、各段のつながりを知るのにはよい機会だった。やっぱり、通しで見てみたいなぁ。2012/05/26

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