岩波現代文庫
ある補充兵の戦い

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  • サイズ 文庫判/ページ数 330p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006021733
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0195

内容説明

太平洋戦争末期、三十五歳で比島派遣渡兵団の補充要員として召集され出征した大岡が、フィリピン・ミンドロ島で戦い、米軍捕虜となり、そして復員する体験を描いた作品群を収録。捕虜収容所での生活を中心に扱った作品集『俘虜記』の姉妹篇をなす。死に直面した極限状況で人間がいかに考え、生きたかを描き出した戦争文学の傑作。

目次

出征
海上にて
比島に着いた補充兵
サンホセの聖母
暗号手
俘虜逃亡
襲撃
敗走紀行
西矢隊奮戦
山中露営
捉まるまで
ユー・アー・ヘヴィ
忘れ得ぬ人々
女中の子
わが復員

著者等紹介

大岡昇平[オオオカショウヘイ]
1909‐88年。作家。高校時代、小林秀雄にフランス語の個人指導を受け、その縁で中原中也を知る。大学卒業後、会社勤務のかたわら、スタンダールの翻訳を試みる。1944年、召集を受け、フィリピンに出征する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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harass

10
「俘虜記」を補う著者の従軍手記。35才の著者が教育召集直後に南方に送られることが決まってから、ルソン島での生活と米軍に捕まるまでと帰国の様子を描く。僅かな時間に出国前に妻と子どもと話をして、帰国後妻の疎開先で再会するところで本は終わる。久しぶりにこの著者の本を読むが途中でこの著者はやはり違うなと感じさせること多し。自分の心理や意識を対象に執拗なまでに理性的な分析を加えていくのが面白い。死を覚悟していた著者はそれに対抗するように言葉を紡いでいった。2013/06/30

teitowoaruku

3
太平洋戦争の後期、補充兵として召集されフィリピンで戦った著者の短編戦記。短編集「靴の話」と、いくつか話が被っている。日本軍では最下層の二等兵として抑圧されていた著者が、俘虜になったとたん米軍にあれこれ要求したり、フィリピン人を叩いたりなど立場を利用して振る舞う様が面白かった。社会を経験した補充兵でなければ、こうはいかなかっただろう。2021/08/14

からし

3
短編にも滅法面白い作品が揃ってます 西矢隊奮戦 :重機すら持たない補充兵と乙種の小部隊が経験した討伐戦がリアルに描かれている秀作だと思う比島に着いた補充兵 :戦況逼迫でも呑気な補充兵は軍票で給料を貰うと何を買うか?そりゃ食い物だろうお腹空いてるし。襲撃 兵隊は死ぬとき本当に「天皇万歳」を三唱するらしいわが復員 国家から被服食料など一切を保証され月21円の給料まで貰っていた。命の危険があったのが玉に傷だけど、こうして生きて帰ってみればざま~みやがれ!ってところだそうです。2015/01/01

おい

2
太平洋戦争末期召集された筆者の行動や考えに触れられ面白い。死を覚悟した時の考えや思いは、他の部分と一転し、考えがとうとうと記されており、感心する。 ★★★2020/09/12

nureyev

2
品川駅での別れが、抑制した描写でかえって胸に迫る場面になってる 最後もヒネリが効いていていい2012/08/01

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