出版社内容情報
大学紛争が激化した時代、暗い過去を持つ中年男と心病む女子大生が愛し合う。T大紛争の終結直後に新幹線爆破の嫌疑で捕らわれた二人は、冤罪を晴らすために長き闘いを始める。魂の救済とは何かを問いかける感動の長編小説。
内容説明
大学紛争が激化した一九六〇年代の終り、謎多き人生を過ごしてきた自動車整備工・雪森厚夫は、スケート場で出会った女子大生・池端和香子に恋心を抱く。T大紛争を巡る混乱の中で、心病む和香子は闘争の有効性に疑問を持ちながら、Y講堂にも出入りする。急接近した二人は六九年二月、冬の北海道への初の旅に出た。帰京した二人は、新幹線爆破事件の容疑者として逮捕される。予期せぬ罠にはめられた二人の孤独な闘いが始まる。
著者等紹介
加賀乙彦[カガオトヒコ]
作家。1929年、東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業。東京拘置所医務技官を務めた後、精神医学・犯罪医学研究のためフランス留学。帰国後、東京医科歯科大学助教授、上智大学教授を歴任。日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mami
4
冤罪はこうして作られていくのかという恐怖。下巻へ。2016/05/01
ソングライン
2
犯罪歴のある50男の主人公が新幹線爆発事件の犯人にされてしまう上巻。ともに犯人にされた若い恋人との運命は。冤罪がつくられていく恐怖、周りの人が一夜にして裏切る無念、主人公は救われるのでしょうか。下巻へ2016/05/23
sakase
1
これは読みごたえのある、深い小説です。読み物としても面白い。冤罪と犯罪と人間の物語。2012/07/17
TAKAMURA
0
やー大変な作品に巡り合ってしまいました。著者名だけは、以前から知っていましたが 作品を読み終えたのは今回が初めてです。私の2016読書生活の最大の喜びを与えてくれた作品といってもいいのではないかと、興奮しています。(下)巻をすぐに買いに行きます。2016/03/04
hal
0
読み始めて、どうも既読感があった。もしかして新潮文庫版を持っていて今回は再読?でも読んでいるうち記憶はあやふやになって来た。1970年前後のお茶の水の雰囲気や10.21国際反戦デーの新宿騒乱は、ミドルティーンだった僕の記憶にもあり、少し懐かしく思った。上巻ではやや淡々と登場人物達の動きと時代背景が描かれ、雪森、和香子達人物の内面は読者が想像するのみ。巻末でストーリー展開があり、下巻に突入と言う感じかな?2014/01/08