出版社内容情報
「人生にはなぜとか、何のために。というようなことはまるでない」――。自分の好奇心のままに人生と人間を眺めた文学者モーム。融通無碍でちょっとシニカルなモームの言葉が、閉塞する現代社会に風穴を開ける!
内容説明
「人生にはなぜとか、何のために、というようなことはまるでない」―自分の好奇心のままに人生と人間を眺め、人気を博した文学者サマセット・モーム。融通無碍でちょっとシニカルなモームの言葉は、閉塞する現代社会に風穴を開ける。日本で初めて紹介されるインタビューも含め、約四〇〇フレーズをテーマごとにセレクト。
目次
1 人生とは何か
2 人間とは何か
3 男女関係
4 モーム自身
5 芸術、文学
6 人物評
7 旅
8 哲学、宗教
著者等紹介
行方昭夫[ナメカタアキオ]
1931年、東京に生まれる。1955年、東京大学教養学部イギリス科卒業。現在、東京大学名誉教授、東洋学園大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
15
モームの文学作品やインタビューからテーマごとにセレクトした400のフレーズを紹介した一冊。もちろん、作品全体を読んだ方がいいのだろうけど、いわば「よりぬきモームさん」としてちょこちょこと読むのには最適。2024/09/26
viola
11
モームの感性、たまらん! モーム好きさんに、是非。 彼の思想などが分かりやすく、「お友達」になりたいという感じではないけれど・・・・ムダなものがない作風とか、感じたことをズバリと言っちゃうとことか、自分の誇りに思っていることも(決して自惚れではなく)発言していることに、妙に好意を抱きます。2010/07/12
壱萬参仟縁
7
本シリーズには珍しいことだが、ゴシック太字で重要箇所が浮き出ている活字はありがたい。しかも、1冊で何冊分ものお得感が得られる。作品の一節から珠玉の思想を集めているのが嬉しい。『作家の手帳』1949年の一節。人類史上で 不幸の総量>幸福の総量 を否定する常識人は居ない(9頁)と。人生が無意味とも指摘(7頁)。「寛容とは無関心の別名」(1896年 45頁)。2013/03/14
葉菜枝
5
モーム作品の中の主要なテーマともいうべき「人間の不可解さ」。 首尾一貫した人間などおらず、「同じ人間の中に、卑小さと偉大さ、意地悪と親切、憎悪と愛情が混然と同居している」というモーム流の見解に魅かれる。 特に女性に対して手厳しく皮肉的なところがあるように思うモームだけれど、面識のあったマリーローランサンについてはストレートにべた褒めしたりしていて、意外な一面も垣間見れる。 やっぱりモームは良いな~と思える語録集だった。2012/06/17
ぶんもう
3
モームは「皮肉屋」とも呼ばれる。だが、皮肉屋と呼ぶ人は、彼の言葉を正直に受け止めてないないのではないか。モームは、人間関係の真実を見事に切り出している。特に、モームのおかげで人間誰しも矛盾を抱えていることに気づかされた。極悪人であれ、必ず善良さを備えているのだ。逆もまた真である。彼の人間観察の巧みさ、冷静さに学びたいものだ。元医者、元諜報の作家として読むと新たな発見があるかもしれない。また、私個人としては出典が『作家の手帳』の言葉が好みだった。なので新訳での出版を期待する。2019/07/22