内容説明
皇太子妃スクープ、売春防止法施行、蒸発人間、産業スパイ、国鉄鶴見事故、王子製紙争議、被爆者運動…、今では遠き彼方に過ぎ去ってしまった昭和三〇年代の世相を語る上で不可欠な主題を追跡した著者渾身のルポルタージュ選。戦後という現場で人々は何を思い、蠢いていたのか。週刊誌のトップ記事をスクープした「トップ屋」としてのしなやかで腰の強い取材力が渦中の人々と事件の真相に肉薄する。小説「皇太子の恋」も収録。
目次
皇太子妃スクープの記
話題小説 皇太子の恋
かくて「鶴見事故」は起こる―スポンサーなき企業の悲劇
赤線深く静かに潜航す―ステッキ・ガールという名の淑女たち
ストライキの果て―王子争議のもたらしたもの
蒸発人間―この奇妙な家出人たちの心理と行動のナゾ
産業スパイ
白い共産村―下着も共有の桃源郷
国有財産は誰のものか
不思議な官庁・通産省
ブラジル“勝ち組”を操った黒井い魔手
彼らが成功する瞬間―関東大震災を生かした人々
財閥の葬儀委員たち―不死鳥を殺したかった
丸ビル物語―サラリーマンの故郷
朴大統領下の第二のふるさと―十八年ぶりの韓国―それは懐かしいというよりも悲しいまでの“民族の悲劇”を私に痛感させた
ヒロシマの五つの顔―あれから十三年・死の影はまだ消えていない
著者等紹介
梶山季之[カジヤマトシユキ]
1930‐1975年。植民地下の朝鮮・京城(現ソウル)生まれ。広島高等師範学校卒業後上京し、「新思潮」の同人になる。後にライター生活に入り『週刊文春』等でスクープ記事を連発し、トップ屋として令名を馳せる。62年に『黒の試走車』を発表、企業情報小説というジャンルを開拓し一躍流行作家になる。多分野にわたって膨大な作品を執筆したが、朝鮮、移民、原爆を描いた小説『積乱雲』の執筆の途上で、取材先の香港で急死した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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