出版社内容情報
6世歌右衛門は戦争中厚木に疎開し,坊主頭にカーキ色の国防服,ゲートル姿で力仕事をした.名優たちへの挽歌を中心に,脇役や大向うの人々,自らの声色修業など,歌舞伎にまつわるエピソードを名調子で語る好エッセイ.
内容説明
六世歌右衛門は戦争末期、著者の先輩今福祝アナウンサーの厚木の実家に疎開した。彼は坊主頭でカーキ色の国防服を着てゲートルを巻き、力仕事をした。十五代目羽左衛門、勘弥、勘三郎、十一代目の団十郎、二代目松緑―名優たちへの挽歌を中心に、脇役や大向うの人々、自らの声色修業など、歌舞伎にまつわるエピソードを名調子で語る好エセッイ。
目次
湯田中の羽左衛門
車の中の団十郎
歌右衛門の疎開
大向うの人々
わが声色修業
声色仕掛人
松緑の初飛行
晩年の勘弥
二人鯉三郎
劇しき人〔ほか〕
著者等紹介
山川静夫[ヤマカワシズオ]
1933年静岡市に生まれる。56年国学院大学文学部卒業。NHKにアナウンサーとして入局。「紅白歌合戦」「ウルトラアイ」などの司会を務める。94年よりフリー。著書は『名手名言』(日本エッセイストクラブ賞受賞、文春文庫)など多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
16
山川静夫さんが学生時代からの歌舞伎ファンであることは『大向こうの人々』でも語られたが、本書はさうした著者自身と歌舞伎の関はり合ひのほか、名優らとの長年の交遊によつて見聞した藝談や逸話に富む。名題の人々だけではなく、大部屋俳優たち、長唄・清元の名人らの歳月、或ひは大橋月皎といつた歌舞伎座の情景の一部になつてゐた画家とその弟子の小伝など、題材の目配りの良さと、無駄のない筆致が味はひ深い。名アナウンサーで名随筆家である著者の面目躍如といふ感じがする。2020/06/21
fonfon
11
清治師匠の創作浄瑠璃 「弥七の死」の原作が収録されているので購入。率直にいって、「筆力」とか「文体」、ということについて考え込んでしまった。オダサクなら、どんな名品に仕上げただろうか。。などと妄想。2013/11/01
rinrinkimkim
1
私のささやかな野望としてこの読書メーターに登録されていない本の最初の読者になりたいな、というのがあります。1980年ですから今から30年以上前の本ですのでちょっとだけ期待しましたがうーん!やはり新参者にははるかな夢です。ナリコマヤがナニコマヤに聞こえて笑ってしまうという大向う聞いてみたかったな。2013/10/05
左近
1
名優だけでなく、大部屋役者、劇場の絵師、大向うの声掛け名人など、周辺領域にいたるまで、数々の興味深いエピソードで楽しませてくれる。著者が元NHKアナウンサーで、歌舞伎通であることは知っていたが、ただの歌舞伎好きではなく、十七代目:中村勘三郎の吹き替えとして、実際に舞台に出たこともある声色名人だったとは、驚いた。『証誠寺の与三郎』や『お初と尾上の点と線』は、ちょっとした歴史ミステリの趣があって、知的好奇心を刺激された。2013/02/27
hazama
1
文楽三味線方が題材の「弥七の死」のみ。2013/02/25
-
- 和書
- ユニクロの戦略